共通テスト「国語」次年度はどうなる?令和8年度の評価を読み解き、対策を解説
公開日:2026.08.25
最終更新日:2026.08.24
この記事は6668文字です。
約6分で読めたら読書速度1200文字/分。

2026年1月に実施された令和8年度の大学入学共通テスト「国語」は、前年度より難化し、平均点が下がりました。
問題量は依然として50ページを超えており、時間的な負荷の高さも変わっていません。一方で、多くの大問は「よく考えられた良問」と評価されており、全体としての方向性は着実に定まってきています。
ただし、新課程で導入された第3問(実用文・書くこと)については、2年目もなお出題傾向が安定せず、課題が残りました。
この記事では、令和8年度の特徴を整理しつつ、次年度以降の出題の方向性と求められる対策を解説します。
※本記事の内容は、大学入試センターが公表した「令和8年度共通テスト本試験『国語』に関する高等学校教科担当教員の意見・評価」および「日本国語教育学会による評価」をもとにまとめています。

ライター
安田 哲
一般社団法人 日本速読解力協会 理事
約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。
目次
【国語】令和8年度はどんな試験だったか
令和8年度の試験を振り返ると、大きく3つのポイントがありました。
各ポイントについて、詳しく解説していきます。
平均点116.37点、前年度より難化し問題量は依然として多い
令和8年度の本試験の平均点は116.37点(200点満点)でした。前年度より平均点が下がり、難化した年となりました。
高校教員評価は「90分の試験時間に対する分量がやや多いため、昨年度よりも難易度が高まった」と指摘しており、日本国語教育学会も「50ページ超もの問題量は減らされていない」と述べています。
受験生にとっては、問題量の多さは時間管理の重要性につながりますので、合否を左右する大きな要素とも言えるでしょう。
大問構成と各問の概要
| 大問 | 分野 | 出題 | マーク数 | 配点 | 文字数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 論理的文章 | 櫻井あすみ「『贈与』としての美術・ABR」 | 10 | 45 | 約7,230 |
| 2 | 文学的文章 | 遠藤周作「影に対して」 | 7 | 45 | 約8,820 |
| 3 | 実用的文章 | 資料Ⅰ 山形昌也氏へのインタビュー記事「科学絵本のアプローチ」をもとに作成 資料Ⅱ 大片忠明「イワシ むれで いきる さかな」をもとに作成 資料Ⅲ 東京水産振興会『世界はイワシでできている?』をもとに作成 |
5 | 20 | 約4,530 |
| 4 | 古文 | うつほ物語 | 7 | 45 | 約3,330 |
| 5 | 漢文 | 松陰快談 | 8 | 45 | 約2,120 |
| 合計 | 37 | 200 | 約26,030 |
令和8年度も、第1問から第5問の5問構成でした。
第1問は「美や芸術のわかりえなさ」をテーマにした論理的文章で、抽象度はやや高いものの構成が整理されており、おおむね適切な難易度と評価されました。
第2問は少年時代の記憶と現在を往還する構成の文学的文章で、設問も内容に沿った良問が多く、特に複数テクストを活用した問6が「探究的な学びの過程につながる良問」として高く評価されました。
第3問は「書くこと」を想定した実用文で、複数の資料を比較・分析しながら文章を書く力を問う問題でしたが、情報量と複雑さが過大だとの指摘を受けています。
第4問は平安時代の物語『うつほ物語』からの出題で古文の読解力を、第5問は江戸時代の日本漢文からの出題で漢文の読解力と知識を問う構成でした。
全体として「よく考えられた出題」だが課題も残る
日本国語教育学会は「全体としてはよく工夫された良問で構成されている」と評価しており、高校教員評価も「知識の理解の質を問う問題や思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題が、おおむねバランス良く出題されている」と述べています。
一方で、語彙・漢字問題の難易度が易しすぎること、第3問の出題傾向が安定していないこと、問題量が多く深く考える時間が取りにくいことなどが、両評価共通で指摘されている項目です。
第3問「実用文」の不安定さはどうなるか
出題傾向が変わり受験生の学習成果が反映されにくかった
令和8年度の試験で最も多く指摘を受けたのが第3問です。
日本国語教育学会は「昨年度の問題傾向とは大きく異なったため、受験者の日頃の学習の成果が反映できたかが気になる。出題傾向がまだ不安定という印象を受ける」と述べています。
新学習指導要領において「書くこと」や「実用的な文章」を問う大問を設けること自体の意義は評価されています。しかし、出題の形式や求められる力が年度によって大きく変わると、受験生は「何を準備すればよいかわからない」という状態に陥りやすくなります。
試験の公平性という観点からも、出題傾向の安定化は急務と言えるでしょう。
情報量・複雑さを考えると「配点20点」に見合うかどうかは疑問
高校教員評価は第3問について「設問数は適切だが、選択肢の数も含め分量が多く、設問も全体的に解きにくかった印象。20点という配点に見合った問題となるような工夫・検討が必要」と指摘しています。
複数の資料を比較・分析し、それをもとに文章の構成や表現を検討するという問題の方向性は学習指導要領に沿ったものですが、「各設問の意図を把握するまでに時間を要した受験者がいた」という指摘も出ています。
求められる力の方向性は正しくても、その測り方にはまだ改善の余地があるというのが両評価の共通した見方です。
次年度に向けてさらなる工夫が求められる
日本国語教育学会は「第3問の持続的な出題のためにさらなる工夫を」と要望しており、高校教員評価も「受験者の学習の成果が十分に発揮されるような素材の配置や設問の工夫、配点や時間の検討により、当該大問が更に発展していくことを期待したい」と述べています。
次年度以降は、情報量の整理・設問の明確化・形式の安定化という方向での改善が進む可能性があります。受験生としては「どんな形式が来ても対応できる」ように、基礎力を育てることが重要です。複数の資料を読み比べ、必要な情報を整理し、論理的に考える力を日頃から意識しておくことで、形式が変わっても対応できるようになるでしょう。

次年度以降の出題はどう変わるか
第1・2・4・5問は安定的に継続される見通し
両評価を総合すると、第1問(論理的文章)・第2問(文学的文章)・第4問(古文)・第5問(漢文)の4問については、おおむね高い評価を受けており、現在の形式が当面継続されると見てよいでしょう。
特に第2問の複数テクストを活用した設問形式(授業での探究的な学びを想定した問題構成)は、学習指導要領の理念に沿った良問として継続が期待されています。第4問・第5問も「文語のきまりの知識だけでなく文脈で読む力を問う」という方向性が定着しつつあります。
問題量の削減は求められているが…
日本国語教育学会・高校教員評価ともに、問題量の多さを課題として挙げています。
高校教員評価は「速読や素早い情報処理を求める問題構成に偏らないよう配慮が必要」と明確に述べており、「深く読む力」を測るという共通テストの理念と、現実の問題量の多さの間には依然としてギャップがあります。
ただし、問題量の削減は大問構成全体の見直しを伴うため、短期間での大幅な変更は難しいかもしれません。受験生としては、時間管理の練習を含めた対策を続けることが現実的です。
語彙・漢字問題の充実が課題
両評価から共通して指摘されているのが、語彙・漢字問題の易しさです。高校教員評価は「問1の漢字が全体的に易しかったことは課題」と述べ、「漢字の意味や語句の意味についてテキストを踏まえて考える設問など、一定の語彙力を求める出題についても検討いただきたい」と要望しています。
語彙の設問が出題される可能性はそれほど高くないと考えられますが、文章の中で語彙の意味を正しく理解できていなければ解けない設問を通して、間接的に語彙の理解を問う可能性は高いと考えられます。
【国語】受験生に求められる対策
それでは、共通テストの国語はどのような対策をすればいいのでしょうか。ポイントは大きく3つです。
国語の対策ポイント3つ
ポイント1:論理的文章・文学的文章は速く正確に読み解くことが必要
ポイント2:複数の文章・図表・資料を読んで整理する練習
ポイント3:古典の単語や文法は、暗記だけでなく「文章の中でどう使うか」という視点で学ぶ
ここからは、それぞれの対策について具体的に解説します。
論理的文章・文学的文章は「読解力の地道な積み上げ」を
第1問・第2問は安定した形式で継続される見通しで、対策の方向性も明確です。
論理的文章では「筆者の主張の構造を把握し、傍線部の意味を前後の文脈から正確に読み取る力」が、文学的文章では「登場人物の心情・行動の背景を場面ごとに丁寧に読み取る力」が求められます。
どちらも読解のフォームを確立して「正確に読み解く」ことが必要です。
出題分量のことをあわせて考えると、この「正確に読み解く」ことの「速さ」も求められていると言えるでしょう。時間をかけて正確に読み解く解き方では、共通テストをクリアすることは難しいと言わざるをえません。
第3問は「複数資料を比較・整理する練習」が対策に
第3問は出題形式が変わりやすいという課題はありますが、「複数の資料を読み比べ、必要な情報を整理しながら文章を書く・構成を考える」という方向性そのものは変わらないと考えられます。
複数の文章・図表・資料を読んで「それぞれ何を言っているか」「共通点と相違点は何か」を整理する練習が有効です。
国語の授業での探究活動や、新聞・雑誌・説明書など実用的な文章を日常的に読む習慣も、第3問への対応力を高めることにつながります。
古文・漢文は「知識」と「文脈理解」のバランスが重要
第4問(古文)・第5問(漢文)では、文語文法・句法・敬語などの知識が土台となります。しかし両評価が指摘するように、「知識だけで解ける問題」は減少傾向にあり、「知識を使って文脈を読む力」がより重視されています。
単語・文法の暗記は必要ですが、それを「文章の中でどう使うか」という視点で学ぶことが大切です。
また、漢文では「書き下し文のきまりを踏まえながら筆者の考えを読み取る」という問いが中心になっており、句法の知識を文脈の理解に活かす練習を積んでおきましょう。
おわりに —— 第3問以外は方向性が定まりつつある
令和8年度の評価を読み通すと、共通テスト「国語」は科目全体としては着実に成熟してきているという印象を受けます。論理的文章・文学的文章・古文・漢文の4問は、学習指導要領の理念を反映しつつ、受験生の力を測る良問として評価されています。
残された主な課題は、第3問(実用文・書くこと)の出題形式の安定化と、問題量全体の見直しの2点です。特に第3問については、出題側も最適な形を模索している段階であり、次年度以降も変化が続く可能性があります。
受験生としては、変化しうる第3問に振り回されすぎず、「文章を正確に読む力」「複数の情報を整理する力」「語彙力」という国語の土台をしっかり育てること、そしてそれらをアウトプットするスピードを上げていくことが、最も安定した本番への備えになるでしょう。
共通テスト・国語の攻略に必要な力を鍛えるには
共通テスト「国語」の攻略には、論理的に文章を読み解く「読解力」と、50ページを超える問題量を時間内に処理する「スピード」の両方が欠かせません。
TERRACEでは、それらをトレーニングする2つの講座を展開しています。
読解力向上に必要な3つの力をトレーニング「新国語講座」
「新国語講座」は、国語力の中でも「読解力育成」に焦点を絞り、「語彙力」・「文法力」・「論理力」をそれぞれ鍛えます。
現代文講師の柳生好之先生が監修、基礎的な読解力を6つに分けた問題でトレーニング。それぞれの問題を解くためのポイントを、柳生先生の解説動画で学ぶことができます。
実際の入試問題を使った確認テストも搭載しています。
読解力育成に必要な力をトレーニング
こんな高校生におすすめ!
- 古典の文法も学習したい
- テストや入試に必要な読解力を身につけたい
- 正しい語彙の知識を身につけたい
- 大学入試の過去問に挑戦したい
膨大な問題を解ききるためには「速読解力講座」
「速読解力講座」は、すべての学習の基本となる、文章を速く正確に読み解く力をトレーニングします。
頭の中で音声化して読む「音読」から、速読の読み方「視読」に徐々に移行します。「視読」は文章をかたまりで瞬間的に視野に入れ、同時に内容を理解する読み方です。内容の理解度を維持したまま速く読むトレーニングを行います。
速く正確に読み解く力をトレーニング
こんな高校生におすすめ!
- 大学受験に役立つ速読解力を鍛えたい
- 社会人になっても役立つ力をつけたい
- 長文読解を得意にしたい
- 社会や理科・英単語などの暗記力を強化したい
どちらの講座も全国の塾・教室で開講しています。無料体験を実施している教室もありますので、ぜひお近くの教室で体験してみてください!
まとめ
共通テスト「国語」は次年度も大きな変更はない可能性が高い
ただし、変化する第3問にブレない土台作りを
- 令和8年度は文字量の多さが難化につながったが、ほぼ出題方針は定着
- 第3問(実用文)は形式変更が予想されるため、複数資料を整理・比較する練習をしておく
- 時間内に読み解くため速く正確に読む力が必要
令和8年度の共通テスト「国語」は、文字量の多さが難化につながった試験となりました。現代文・古文・漢文は質の高い問題として方向性が定まっているため、地道な演習と速く正確に読んで理解する力を磨くことで確実に点数化できます。形式が安定しない第3問に振り回されないためにも、「論理的に情報を整理する力」を身につけましょう!




令和8年度試験の3つのポイント
ポイント1:平均点は前年から低下、50ページ超の問題量による時間的な負担は変わらず
ポイント2:新傾向の第3問(実用文)は出題形式が安定せず「解きにくさ」の残る内容
ポイント3:論理的文章・文学的文章・古文・漢文は「良問」と評価され、思考力を問う試験としての方向性が定着