共通テスト「情報Ⅰ」次年度はどうなる?令和8年度の評価を読み解き、対策を解説

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2026年1月に実施された令和8年度の大学入学共通テスト「情報Ⅰ」は、前年度から平均点が約12.7点下がり、受験生にとって手応えのある試験となりました。
しかし、評価機関からは「難易度は適切だった」「今回をもって問題の在り方が一つの形として確立された」という前向きな評価が相次ぎました。
まだ導入2年目の科目だからこそ、この評価をどう読み解くかが次年度以降の対策を考える上で重要です。

この記事では、令和8年度の特徴を整理しつつ、次年度の出題の方向性と求められる対策を解説します。

※本記事の内容は、大学入試センターが公表した「令和8年度共通テスト本試験『情報Ⅰ』に関する高等学校教科担当教員の意見・評価」「一般社団法人情報処理学会による評価」および「日本情報科教育学会による評価」をもとにまとめています。

一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

ライター

安田 哲

一般社団法人 日本速読解力協会 理事

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

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【情報Ⅰ】令和8年度はどんな試験だったか

令和8年度の試験を振り返ると、大きく3つのポイントがありました。

令和8年度試験の3つのポイント

ポイント1:平均点は大幅に低下したものの、本来目指すべき「適切な難易度への正常化」

ポイント2:昨年度よりも問題量が増加し、時間管理の重要性が増した

ポイント3:暗記ではなく「問題文の場面を理解し、知識を活用して解く力」が一貫して問われた

各ポイントについて、詳しく解説していきます。

平均点大幅低下でも「難易度は適切」

令和8年度の本試験の平均点は56.59点でした。前年度(令和7年度)の69.26点から約12.7点の大幅な低下となりました。

この大幅な低下について、日本情報科教育学会は「やや平均点を高めに設定していた昨年度と比べて難化したと受け止められるが、極端に難易度が変化したわけではなく、標準的な難易度を目指したことに起因するものと考えられる。そのため、本年度の問題は本来の『情報Ⅰ』の姿であると捉えることもできる」と述べています。

つまり、昨年度が「初年度の実施」だったたためにやや易しめに設定されていたのに対し、令和8年度は本来の難易度に修正されたと見るべきで、平均点の低下は「難化」よりも「正常化」と解釈できます。
高校教員評価も「他科目の平均点と比べても同程度となっており、共通テストとして適切な難易度設定であった」と評価しています。

出題範囲のバランスは改善するも問題量は増加した

大問 小問 内容 設問数 配点
1 広範な分野から基本的事項の理解を問う問題 15 20
2 A 情報システムの構成とその特徴に関する理解力、課題及び解決方法に関する思考力を問う問題 9 15
B 論理演算を用いて画像の透過を実現するための一連のプロセスを題材とすることによって、論理演算や画像のデジタル表現の理解を問う問題 8 15
3 プログラミングの基礎能力に関する問題 15 25
4 一連のデータ分析を行う学習過程を模して、基礎的なデータの集計と前処理、データの可視化と正確な読み取り、分析が正しく進められるかを問う問題 13 25
合計 60 100

高校教員評価は「昨年度に見られた『コンピュータとプログラミング』の分野への偏りが全体としては解消され、全分野を通じたバランスに配慮した構成となっていた」と評価しています。

一方で、問題量についてはやや増加したため、情報処理学会は「問題量はやや増えており、受験者の解答時間を考慮すると、分量は昨年度程度が望ましい」と指摘しています。
総マーク数は前年度から9か所増えており、時間管理の重要性が増した年でもありました。

各大問の傾向 ——「知識を使う」問題の重要性

令和8年度の試験は、第1問から第4問まで一貫して「知識を手掛かりにして解く」設計になっていました。

第1問(小問集合)は記憶装置・セキュリティ・2進法・情報デザイン・電子メールと幅広い分野から出題されましたが、「各事項の役割や相互の関係を把握していないと正解できないよう工夫されている」と評価されています。

第2問は住民証明システムの改善(情報システム)と画像の論理演算(ビット演算)という2題構成で、状況を読んでデータの流れや演算の組み合わせを考える力が問われました。

第3問は文化祭のゲーム待ち時間を題材にしたプログラミングで、プログラムを「読む→追う→改変する」という3段階の力が問われました。

第4問は桜の開花日と気温のデータを使った統計分析で、散布図・箱ひげ図・回帰直線まで扱う本格的なデータ活用の問題でした。

どの大問も「場面を理解し、知識を手がかりに考えて解く」という構造は共通しており、これが『情報Ⅰ』の試験としての一貫した姿勢と言えるでしょう。

複数評価機関が共通して指摘したこと

知識は「理解・活用する」という方針

情報処理学会・日本情報科教育学会・高校教員評価の3者が共通して高く評価したのが、「単なる知識の暗記ではなく、場面を読み解いて考える力を問う」という出題方針の定着です。

高校教員評価は「単なる知識の暗記ではなく、社会や身近な生活の中での知識を網羅的に活用する場面が多く問われた」と述べ、日本情報科教育学会も「知識を想起させるのではなく、理解を基盤として思考力を発揮し、状況を読み解き問題解決へと至る力を測る設計であった」と評価しています。この方針は今後も継続されると見てよいでしょう。

次年度の問題量は減少が求められる

情報処理学会は「問題量はやや増えており、分量は昨年度程度が望ましい」と明確に指摘しました。総マーク数が9か所増えたことで、時間内に解き終えるための処理速度が例年以上に求められた年でもありました。
次年度以降、この指摘が反映されれば問題量は抑制される方向に調整される可能性があります。

共通テスト「情報Ⅰ」の型は確立

日本情報科教育学会は「今回をもって、共通テスト『情報Ⅰ』の問題の在り方は一つの形として確立されたと評価する」と明言しています。これは導入2年目にして試験の「型」が定まったという重要なメッセージと言えるでしょう。
そのため、次年度以降は大きな構成変更よりも、この形をより発展させていく方向になると予想できます。

次年度以降の出題はどう変わるか

大問構成・出題方針は当面維持される

3者の評価を総合すると、第1問〜第4問の全問必答という大問構成は当面維持されると考えられます。
高校教員評価も「次年度以降も本年度の出題方針が継続され、主体的・対話的で深い学びによる探究の過程を重視した授業の成果を測る試験を期待する」と述べており、急激な構成変更より質的に発展させるであろうと考えられます。

出題方針の柱である「社会や身近な生活の題材をもとに、情報技術を活用した問題発見・解決の力を問う」というスタンスも変わらないでしょう。

プログラミング・データ活用は今後も中核

複数の評価機関が第3問(プログラミング)・第4問(データ活用)を「良問」として高く評価しており、この2分野は今後も試験の中核を占め続けると予想されます。
特に第3問のような「プログラムを段階的に読んで改変する」形式や、第4問のような「データを分析しながら仮説を検証・補正する」形式は、両学会から「『情報Ⅰ』の授業や探究活動への応用可能性が高い良問」と評価されており、今後も出題が続くと見るのが自然です。

難易度の安定化が次の課題

日本情報科教育学会は「今回の難易度は妥当」としながらも、情報処理学会は問題量の抑制を求めており、次年度以降は難易度のさらなる安定化が課題となるでしょう。
平均点が大きく変動するということは難易度も不安定であるということですから、受験生にとっては心理的なストレスがかかると言わざるを得ません。
現時点では、年度によって大きく平均点が変動する試験であることを念頭においておくのが無難でしょう。

【情報Ⅰ】受験生に求められる対策

それでは、共通テストの情報Ⅰはどのような対策をすればいいのでしょうか。ポイントは大きく4つです。

情報Ⅰの対策ポイント4つ

ポイント1:用語の丸暗記ではなく「どの場面でどう使われるか」の文脈を理解する

ポイント2:プログラムを読み解き、状況の把握と解決への試行錯誤をすることが重要

ポイント3:グラフや統計データから「言えること・言えないこと」を考察する練習

ポイント4:授業での実習や分析を考えながら丁寧に積み重ねる

ここからは、それぞれの対策について具体的に解説します。

場面を読んで考える力

令和8年度の評価が示すように、用語を「覚えていれば解ける」試験ではありません。問題文に示された場面・状況・条件を正確に読み取り、持っている知識を手がかりにして考える力が求められます。

もちろん、用語の意味を覚えることは出発点ですが、「その技術がどんな場面でどう使われるか」「どんな問題を解決するためのものか」という文脈ごとの理解が、本番での得点に直結します。
教科書の内容を丸暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」を考えながら学ぶ習慣が大切です。

プログラムを「読む・追う・直す」力を鍛える

第3問が示すように、プログラミングの問題は「与えられたプログラムを読んでその動きを追うこと」と「どこを直せば意図どおりに動くか考えること」が問われます。

正確にそのプログラムを読み解いて「何が起こっているのか」を把握することと、問題点を見つけたらどのようにすれば解決できるのかを試行錯誤しながら考えることの2つが重要な対策と言えるでしょう。
もちろん、実際にプログラムを動かしてみる経験があればさらに対応力はアップするでしょう。

データ活用(グラフ・統計)への慣れ

第4問は散布図・箱ひげ図・相関係数・回帰直線といった統計的な概念を扱う本格的な問題でした。数学の授業で学ぶ内容と重なる部分も多いですが、「情報Ⅰ」では「データからどんなことが分かるか・分からないか」を考察する力が特に重視されます。

グラフを「読む」だけでなく、「このグラフから言えることと言えないことは何か」を考える練習を日頃から積んでおくことが重要です。
またオープンデータの扱い方や欠損値の処理といった実践的な知識も、今後の出題で継続して問われる可能性があります。

実習・探究の経験を大切に

情報処理学会は「コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用した実習を通して『情報Ⅰ』の内容を深く理解していれば取り組める出題」と述べています。
「情報Ⅰ」の授業で行うプログラミング実習・データ分析・情報システムの調査・探究活動の経験を「なぜそうなるのか」を考えながら丁寧に積み重ねることが、最も確かな対策と言えるでしょう。

おわりに ——「3年目」の試験に向けて

導入2年目にして「一つの形が確立された」と評価された共通テスト『情報Ⅰ』ですが、平均点・難易度や、問題量など、本当の意味での「安定」に向けた課題はまだ残っています。
確立された「型」の中で試行錯誤が繰り返されながら安定に向かうものと予想されます。

受験生にとっては、「毎年変わるかもしれない」という不安よりも、「方向性は定まった」という事実に目を向けることが大切です。
場面を読んで考える力・プログラムを扱う力・データを活用する力など、授業での学びを丁寧に積み重ねることが、最も確かな本番への準備になります。

長文問題やプログラム解読の「時間」を生み出す「速読解力講座」

共通テスト「情報Ⅰ」では、多くの問題文や図表・プログラミングコードを速く読み解き、内容を正確に理解する力が武器になります。
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「情報Ⅰ」のように条件整理や試行錯誤が求められる試験では、文章や図表を速く読んで理解することで「プログラミングやデータ分析の考察に使える時間」を生み出すことができます。さらに読解力は、他科目の対策にも役立つ力になります。

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まとめ

共通テスト「情報Ⅰ」は出題の型は確立!
「知識の活用」と「速く正確に読み解く力」が合格のカギ

  • 令和8年度は平均点が低下したが、難化ではなく正常化
  • プログラミングとデータ活用が試練の中核となるため、グラフ考察やコード解読の実践練習が必要
  • 問題量・文章量が多いため、思考時間を確保するための「速く正確に読み解く力」があると有利

令和8年度の共通テスト、導入2年目の「情報Ⅰ」は出題の「型」が確立されたと考えられます。暗記中心の学習では太刀打ちできず、「場面を読み解いて知識を活用する力」や「プログラミング・データを考察する力」が求められます。また、問題量も多いため、思考・試行錯誤するための時間を残す「速く正確に読み解く力」も大きなアドバンテージになります。早めに対策をしていきましょう!

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