共通テスト「英語・リーディング」次年度はどうなる?令和8年度の評価を読み解き、対策を解説
公開日:2026.08.06
最終更新日:2026.08.18
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2026年1月に実施された令和8年度の大学入学共通テスト「英語(リーディング)」は、平均点が前年度から約5点上昇し、やや易化した試験となりました。
しかし、試験を振り返った高校教員や教育研究団体の評価を読むと、「今年は取り組みやすかった」という一言では終わらない、さまざまな課題や展望が見えてきます。
この記事では、令和8年度の試験がどのような内容だったのかを整理しつつ、両評価が指摘した課題をもとに、次年度以降の出題の方向性と求められる対策を解説します。
※本記事の内容は、大学入試センターが公表した「令和8年度共通テスト本試験『英語(リーディング)』に関する高等学校教科担当教員の意見・評価」および「全国英語教育研究団体連合会による評価」をもとにまとめています。

ライター
安田 哲
一般社団法人 日本速読解力協会 理事
約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。
目次
【英語(リーディング)】令和8年度はどんな試験だったか
令和8年度の試験を振り返ると、大きく3つのポイントがありました。
それでは、各ポイントについて詳しく解説していきます。
平均点は上がり、取り組みやすくなった
令和8年度の本試験の平均点は62.81点でした。
前年度(令和7年度)の57.69点から約5点上昇し、旧課程の出題の最終年度である令和6年度の51.54点と比較するとさらに大きく上がっています。
令和6年度とは出題傾向が変わるので単純比較はできませんが、令和7年度と令和8年度は同一形式での出題でしたので、難易度のばらつきがあることがわかります。
全国英語教育研究団体連合会の評価では、「今年の試験は受験者にとってかなり取り組みやすい内容であった」と評されています。
一方で、平均点の上昇が「試験の質の向上」を意味するわけではなく、難易度調整の難しさを示しているとも言えるでしょう。
変わらない「速読力」の必要性
令和8年度も、大問数8・解答数44という構成に変化はありませんでした。本文と設問・選択肢を合わせた総語数にも大きな変化はなかったとされています。
| 大問 | 内容 | 解答数 | 配点 | 語数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | チャットによる会話文の読み取り | 3 | 6 | 270 |
| 2 | ウェブサイト上の記事の読み取り | 4 | 12 | 468 |
| 3 | 物語(ワークショップ体験談)の読み取り | 6 | 9 | 403 |
| 4 | 告知記事とフィードバックの読み取り | 4 | 12 | 548 |
| 5 | 案内文と投稿文及びメールの読み取り | 6 | 16 | 786 |
| 6 | 物語と要約の読み取り | 8 | 12 | 954 |
| 7 | 記事とプレゼンテーション用スライドの読み取り | 6 | 16 | 998 |
| 8 | エッセイの作成に必要な情報の読み取り | 7 | 17 | 1182 |
| 合計 | 44 | 100 | 5,609 |
しかし、全国英語教育研究団体連合会は「様々なテーマや形式の設問に対応するためには、受験者にとってかなりの速読力が求められ、最後まで解き終えることができなかった受験者がいたことが予想される」と指摘しています。
問題の量そのものは変わらなくても、多様な形式・テーマへの対応が求められる構造は変わっておらず、速読力は依然として必須の力であると言えます。
取り組みやすかった問題・苦戦した問題
大問別の難易度には大きな差がありました。
| 大問 | 内容 | 得点率 |
|---|---|---|
| 1 | チャットによる会話文の読み取り 「ダンスコンテストでの衣装」についてのやり取り |
約70% |
| 2 | ウェブサイト上の記事の読み取り 「学生寮の満足度調査」について示すウェブサイト |
約72% |
| 3 | 物語(ワークショップ体験談)の読み取り 「瞑想ワークショップでの体験」を書いた文 |
約62% |
| 4 | 告知記事とフィードバックの読み取り 「エコ・ウイーク」についてのニューズレター |
約80% |
| 5 | 案内文と投稿文及びメールの読み取り 「図書館のブックフェア」についての3種類の資料 |
約64% |
| 6 | 物語と要約の読み取り 「中学生とおにぎりの店の思い出」についての物語 |
約54% |
| 7 | 記事とプレゼンテーション用スライドの読み取り 「マインド・ワンダリング」についての文章 |
約48% |
| 8 | エッセイの作成に必要な情報の読み取り 「スポーツと科学技術の進歩」についての複数意見 |
約61% |
最も得点率が高かったのは第4問(ニューズレターの推敲型問題)で、大問別得点率は約80%。形式への慣れが進んでいることが数字に表れています。
一方で、最も得点率が低かったのは第7問(「マインド・ワンダリング」に関する科学的文章)で、大問別得点率は約48%。身近でないテーマに加え、情報を整理しながら読む負荷の高さが影響したと考えられます。
また第6問の問1は正答率約27%と突出して低く、関係団体からは「選択肢の紛らわしさがあった」と指摘されました。
こうした得点率の差は、テーマの親しみやすさ・選択肢の設計・複合的な情報処理の負荷が合否を左右しうることを改めて示しており、次年度の出題設計にも影響を与えると考えられます。
両評価が指摘した課題 —— 試験はまだ「発展途上」
技能統合・発信技能の測定は実現できているか
令和8年度の試験には、「読むこと」と「書くこと」を統合した第4問のような新形式問題が含まれています。
しかし両評価とも、この取り組みが十分に目的を達せられているかについては「議論の余地がある」と指摘しています。
全国英語教育研究団体連合会は「発信技能の育成にはどのような出題が有効かを改めて考えていただきたい」と述べており、高校教員評価も「技能統合的な理解を求める問題において、その試みが十分に目的を達せられたかにはまだ議論の余地がある」としています。
共通テストは新学習指導要領が掲げる「5領域の総合的な育成」を反映した試験を目指していますが、現状ではリーディング形式の中でそれを実現することに限界があるとの認識が共有されています。
場面設定の不自然さへの指摘
高校教員評価では、いくつかの大問について場面設定の不自然さが指摘されました。
第4問については「本文には設問に関わらない部分でも未熟な点が含まれており、ニューズレターという媒体においては不自然」とされ、第1問についても「カジュアルな場面に比して整いすぎた文体には違和感がある」とコメントされています。
「実際のコミュニケーションに近い場面を設定する」という共通テストの理念と、実際の問題設計の間にはまだギャップがあると言えるでしょう。
この点は次年度以降も継続的に改善が求められる課題です。
選択肢の紛らわしさは改善されつつある
令和8年度は、過去に指摘されてきた「選択肢の過度な紛らわしさ」が比較的少なかった年とされています。
全国英語教育研究団体連合会は「今年は選択肢の紛らわしさや、単に作業量が増えることによって生じる負荷は少なかった」と評価しています。
ただし、第6問問1のように正答率約27%という突出した低さを示した設問もあり、「一部で選択肢の設計に課題が残った」とも指摘されています。
来年度以降、選択肢の質が安定するかどうかは引き続き注目点です。

次年度以降の出題はどう変わるか
問題形式・分量の大きな変更は当面なさそう
両評価の内容から総合すると、大問数8・解答数44という基本構成は当面維持されると考えるのが自然です。
高校教員評価は「昨年度に大きく変更された問題形式・分量をおおむね踏襲して作成された」と述べており、令和7年度から令和8年度にかけての変化はほとんどありませんでした。
全国英語教育研究団体連合会も「昨年度と問題構成や作問の方向性に大きな変更はなく、現在の形が更に発展してゆくものと考えている」としており、急激な構成変更よりも、現在の枠組みの中での質的改善が続くと予想されます。
「書くこと」「発信」をどう問うか —— 新形式への布石に注目
両評価が繰り返し指摘しているのが、発信技能・技能統合をいかに問うかという課題です。
第4問のような「推敲型」問題はその一つの試みですが、まだ発展途上であるとの評価です。
全国英語教育研究団体連合会は「発信技能の育成にはどのような出題が有効かを改めて考えていただきたい」と要望しており、今後も新形式問題の模索が続くと考えられます。
複数の資料・図表を横断的に読む第5問・第8問型の問題は、両評価ともに「良問」として高く評価しており、今後も出題が続くと見られます。
【英語(リーディング)】受験生・学校現場に求められる対策
それでは、共通テストの英語(リーディング)はどのような対策をすればいいのでしょうか。
ポイントは大きく3つです。
英語(リーディング)の対策ポイント3つ
ポイント1:やはり「速く正確に読む力」の強化は最重要
ポイント2:英文を読んだ後に内容を「整理・要約する」練習をする
ポイント3:複数の資料や図表を組み合わせた演習を重ねる
ここからは、それぞれの対策について具体的に解説します。
速く正確に読む力は引き続き最重要
令和8年度の評価で「速読力が求められ、最後まで解き終えられなかった受験者がいたことが予想される」という指摘がありました。
問題の量・形式が大きく変わらない以上、時間内にすべての問題に取り組むための速読力は、次年度以降も最重要の力です。
ただし、全国英語教育研究団体連合会は「速読と精読のバランスの観点から、語数を増やすことについては慎重になるべき」とも述べています。
速く読む力がなければ問題を最後まで解き終わらないことは言うまでもありませんが、それに加えて、設問に正確に答えるための精読ができるようになることが重要であるということを示唆しています。
「読む」だけでなく「整理・表現する」力を
第4問・第7問・第8問など、情報を整理してまとめたり、自分の立場を選んで論拠を組み立てたりする問題の比重は今後も維持・拡大される可能性が高いと言えます。
これらの問題に対応するためには、英文を読み終えた後に「何が言いたかったのか」「どんな構造の文章だったか」を自分の言葉で整理できる力が必要です。
日頃から英文を読んだ後にその内容を要約する練習や、複数の意見を比較・整理する練習を取り入れると効果的でしょう。
複数資料・図表を横断的に読む練習を
第5問・第8問のように、複数の資料を横断的に読んで情報を統合する問題は、両評価から「良問」として高く評価されており、今後も出題が続くと考えられます。
こうした問題は、一つひとつの英文の理解だけでなく、複数の情報源を行き来しながら必要な情報を取り出す力が求められます。
普段の学習でも、単一の長文読解だけでなく、複数の短い文章や資料を組み合わせた演習を積み重ねておくことが、本番での対応力を高めると言えるでしょう。
おわりに —— 安定しているが出題の工夫は続くと言える
令和8年度の評価を読み通すと、共通テストの英語(リーディング)はまだまだ工夫の余地があることがよく伝わってきます。
新学習指導要領が掲げる「5領域の統合」「発信技能の育成」という高い理念を、選択式・リーディング形式という試験の枠組みの中でどう実現するか、おそらく出題者も模索を続けていることでしょう。
ただし、受験生にとっては、基本的な出題パターンに習熟するトレーニングはもちろんのこと、総合的な英語力のアップに力を注ぐことが重要です。
特に共通テストの英語(リーディング)の特徴である「速く正確に読む」力を身につけ、情報を整理する力などにも慣れておきたいところです。
一朝一夕には身につかない英語の力だからこそ、早めの準備が大きな差につながります。
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- リスニング問題を1回で聴き取る力をつけたい
まとめ
英語(リーディング)は次年度大きな変更はない可能性が高い!
総合的な英語力のアップが重要
- 令和8年度の問題は取り組みやすい問題だったが、全体を解ききるための「速読力」は依然として必須
- 複数資料の読み比べや図表の読解など、情報を整理・要約する力が合否を分ける
- 「速く正確に読む」力を身につけ、早めの準備をはじめましょう
令和8年度の共通テスト英語(リーディング)は取り組みやすい問題となりましたが、出題の根本にある「膨大な英文を速く正確に読み、必要な情報を整理する」という求められる力に変わりはありません。直前になって急に読むスピードを上げることは難しいため、早い段階から速読力を鍛え、複数の資料を読みこなすトレーニングを重ねておくことが、合格への近道です。




令和8年度試験の3つのポイント
ポイント1:平均点は約5点上がり「やや取り組みやすく」なった
ポイント2:それでも出題の語数は多く、速く読むことができないと最後まで終わらない
ポイント3:大問ごとに難易度の差が大きく(得点率80%〜48%)、形式・選択肢やテーマに左右されやすい