中学校の新指導要領が示す、国語で育む力とは?

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中学校では、2021年度より新しい指導要領に沿った教科書での授業がスタートしました。
未来を生きていくために必要な資質・能力を向上させることに重点が置かれた今回の改訂ですが、具体的に中学校の国語はどのように変わったのかご紹介します。

3つの柱で構成された新しい国語

新指導要領では「子どもたちが自分で未来を切りひらいていけるように、生きていくための資質・能力を育んでいく」ことを重視し、「生きる力」を3つ掲げています。

3つの力と合わせて、国語科で目指すべき力を「国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力」と定めました。
また、児童が「言葉による見方・考え方」を働かせることも必要であると示し、以下のように構成し直されました。

これまでの指導要領 新しくなった指導要領
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 知識及び技能
(1)言葉の特徴や使い方に関する事項
(2)情報の扱い方に関する事項
(3)我が国の言語文化に関する事項
「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域 思考力、判断力、表現力等
(A)話すこと・聞くこと
(B)書くこと
(C)読むこと

「知識及び技能」と「思考力、判断力、表現力等」は、国語で正確に理解し適切に表現する際に必要不可欠な力です。
また「知識及び技能」を、国語で理解したり表現したりする際に発揮していくために、思考・判断・表現しながら力を育んでいくことも求められています。
したがって、「知識及び技能」と「思考力、判断力、表現力等」は共に関連しあいながら育成される必要があるのです。

さらに3つの柱のひとつ「学びに向かう力・人間性の育成」で育んだ「学びへの積極的な姿勢」が、「知識及び技能」や「思考力、判断力、表現力等」の育成にも影響し、次の学びに向かう意欲が高まっていきます。
学年ごとに挙げられている項目を段階的に学んでいくことで、「知識及び技能」と「思考力、判断力、表現力等」が育まれることを目指しています。

新指導要領が目指す「中学校国語」

国語科の目標

科目別の目標として、国語では3つの目標が掲げられています。

言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)社会生活に必要な国語について、その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2)社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め、思考力や想像力を養う。
(3)言葉がもつ価値を認識するとともに、言語感覚を豊かにし、我が国の言語文化に関わり、国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。

これらの目標で育む力とそのポイントをご紹介します。

育む力①国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力

国語科が「国語で理解し表現する言語能力を育成する教科である」ということから示されました。
今回の改定では、国語で表現された内容や事柄を正確に理解し、自ら表現する資質・能力を発揮するために、国語の使い方を正確に理解し、適切に使う資質・能力を育んでいくという背景から、目標に設定されました。

育む力②言葉による見方・考え方を働かせる力

学習の中で、対象と言葉、また言葉と言葉との関係を、意味や働き、使い方等に着目して捉えたり問い直したりして、言葉への自覚を高めることを示しています。
科学現象や社会的な目線で事象を理解していくことが少ない国語科において、言葉を通じた理解や表現、そこで用いられる言葉そのものが学習対象となります。
「言葉による見方・考え方」を働かせることが、国語科において育成を目指す資質・能力をよりよく身に付けることにつながります。

力を育むポイント・言語活動

言語能力を育成する中心的な役割を担う国語科では、正確に理解し適切に表現する資質・能力を育成するのは言語活動だとしています。

改善と充実①知識および技能

今回の改訂では、従前の指導要領の改善と内容の充実化が実施されました。
学年別に詳細は示されていますが、本記事では「知識および技能」の項目について全体像をご紹介します。

言葉の特徴や使い方

〇言葉の働き
言葉がもつ働きに改めて気付くことで、児童は言葉を自覚的に用いることができるようになる。
相手の行動を促す働きに関する指導事項を第2学年に新設した。

〇話し言葉と書き言葉
小学校での学習を踏まえ、話し言葉と書き言葉を適切に使い分けられるようにするために,音声と文字それぞれの特徴が、話し言葉と書き言葉それぞれの特徴と関連していることを理解するための内容を示している。

〇漢字
読みについては、小学校で習う1,026字に加え、中学校修了までに学年別漢字配当表以外の常用漢字の大体を読むことを求めている。
書きについては,小学校で習う1,026字を、第2学年までに文や文章の中で使うこと、第3学年では文や文章の中で使い慣れることとしている。

〇語彙
語句を話や文章の中で使うことを通して、社会生活の中で使いこなせる語句を増やし、確実に習得していくことが重要である。
語感を磨き語彙を豊かにするためには、語句の量を増すことと、語句についての理解を深めることの両面が必要である。

〇文や文章
単語や文については,第1学年では単語の類別、第2学年では単語の活用、助詞や助動詞などの働き、文の成分の順序や照応など文の構成について理解することを示している。
話や文章の構成については、第1学年では指示する語句と接続する語句の役割、第2学年では話や文章の構成や展開、第3学年では話や文章の種類とその特徴について理解を深めることを示している。

〇言葉遣い
敬語を含め広く相手や場に応じた言葉遣い全般について学習することを意図している。
第2学年では敬語の働きについて体系的に理解し使うこと、第3学年では敬語を含めて広く相手や場に応じた言葉遣いについて理解し、適切に使うことを示している。

〇表現の技法
小学校での学習を踏まえ、表現の技法についてその名称とともに理解し使うことを示している。

参考:文部科学省中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編(p18)

情報の扱い方

話に含まれている情報を整理したり、関係性を捉えたりすること、また自分の情報を整理して、その関係を分かりやすく明確にすることが、話や文章で適切に表現することにつながるということから設定された項目です。

〇情報と情報との関係
各領域における「思考力、判断力、表現力等」を育成する上では、話や文章に含まれている情報と情報との関係を捉えて理解したり、自分のもつ情報と情報との関係を明確にして話や文章で表現したりすることが重要になる。

〇情報の整理
情報を取り出したり活用したりする際に行う整理の仕方やそのための具体的な手段について示している。こうした「知識及び技能」を、言語活動の中で使うことができるようにすることが重要である。

参考:文部科学省中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編(p22)

我が国の言語文化

文化としての言語、実際使用することによって形成されてきた文化的な言語生活、そして古代から現代の多様な言語芸術や芸能などを「我が国の言語文化」としてまとめています。

〇伝統的な言語文化
小学校での学習を踏まえ、中学校においても引き続き親しむことを重視し、その表現を味わったり、自らの表現に生かしたりすることに重点を置いて内容を構成している。

〇言葉の由来や変化
時代による言葉の違いや、地域や世代による言葉の違いに関する内容を示している。
今回の改訂では、小学校第5学年及び第6学年との接続を意図して、共通語と方言の果たす役割について理解することを第2学年から第1学年に移行している。

〇書写
我が国の伝統的な文字文化を継承し、これからの社会に役立つ様々な文字文化に関する「知識及び技能」について理解し、文字を効果的に書くことができる力を育成することが大切である。

〇読書
自ら進んで読書をし、読書を通して人生を豊かにしようとする態度を養うために、国語科の学習が読書活動に結び付くよう発達の段階に応じて系統的に指導することが求められる。

参考:文部科学省中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編(p24)

改善と充実②思考力、判断力、表現力等

「思考力・判断力・表現力等」の項目では、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域で構成されていますが、それぞれの「言語活動事例」を設けた授業内容が示されています。

「話すこと・聞くこと」

〇話題の設定、情報の収集、内容の検討
目的や場面に応じて話題を決め、話したり聞いたり話し合ったりするための材料を収集・整理し,伝え合う内容を検討すること。

〇構成の検討、考えの形成(話すこと)
自分の立場や考えが明確になるように話の構成を考えることを通して、自分の考えを形成すること。

〇表現、共有(話すこと)
聞き手に分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。

〇構造と内容の把握、精査・解釈、考えの形成、共有(聞くこと)
話の展開に注意しながら内容を聞き取り、互いの考えを比較したり、聞き取った内容や表現の仕方を評価したりして、自分の考えを形成すること。

〇話合いの進め方の検討、考えの形成、共有(話し合うこと)
話合いを効果的に進め、互いの発言を踏まえて、考えをまとめたり広げたり深めたりすること。

「書くこと」

〇題材の設定、情報の収集、内容の検討
目的や意図に応じて題材を決め、情報を収集・整理し、伝えたいことを明確にすること。

〇構成の検討
文章の構成を検討すること。

〇考えの形成、記述
記述の仕方を工夫し、自分の考えが伝わる文章にすること。

〇推敲
読み手の立場に立ち、自分が書いた文章について捉え直し、分かりやすい文章に整えること。

〇共有
読み手からの助言などを踏まえて、自分が書いた文章のよい点や改善点を書き手自身が見いだすこと。

「読むこと」

〇構造と内容の把握
文章がどのような構造になっているか、どのような内容が書かれているのかを把握すること。

〇精査・解釈
構成や叙述などに基づいて、文章の内容や形式について、精査・解釈すること。

〇考えの形成、共有
文章を読んで理解したことなどに基づいて、自分の考えを形成すること。

参考:文部科学省中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編(p27)

小学校で身につけた力を活かしながら、中学校でさらに「自らの言葉で伝える大切さ」を学んでいきます。

まとめ

中学校の国語では、言語文化に触れあい、言葉の豊かさを育む

  • 新指導要領の3つの力と合わせて、国語では「正確に理解し適切に表現する 資質・能力」を育む
  • 言葉による見方・考え方を働かせて、言葉への自覚を高める。
  • 小学校で学んだことや身につけたことが、中学校での学びにつながっていく

中学校の国語は小学校と比べて、より実践的な学びの項目が多く設けられています。
社会生活の中で必要な国語や、言語を用いたコミュニケーションを軸に置くような言語活動を通して、言葉の豊かさや表現方法を育んでいくことができるでしょう。

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