子どもの英語学習、いつから始める?小学生英語の疑問に元・塾講師が答えます!

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「早くから英語を習わせないと、将来苦労するかしら?」
「早くから英語を始めたほうが、英語は上達するはず…」
そんな風に考える保護者の方も多いのではないでしょうか。

巷には早期英語教育の情報が溢れていますが、情報が多いがゆえに「どの情報が真実なのかわからない…」と困ってしまうのではないでしょうか。
この記事では、「第二言語習得研究(Second Language Acquisition Research)」の研究結果を参考にして、保護者の方が気になる「子どもの英語学習」に関する質問をQ&A形式でお答えします。

※参考文献:中田達也・鈴木祐一 編著 (2022)『英語学習の科学』研究社

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一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

ライター

安田 哲

一般社団法人 日本速読解力協会 理事

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

Q&Aで解決! 子どもの英語教育

Q1.早くから始めないとダメ?

必ずしも焦って始める必要はありません。
学習開始年齢を「早める」だけでは、期待されたような効果は得られません。
一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

安田

英語が社会で広く使われている環境(専門的には ESL(English as a Second Language)環境と呼びます)では、英語学習を始めるのが早いほど習熟度が高くなることが分かっています。

ただ、日本のように英語に触れる機会が少ない環境(EFL(English as a Foreign Lanugage)環境と呼びます)では、早くから始めた時の効果は「ほとんどないか、あったとしても非常に限定的」という結果が出ています。
日本人の英語学習者を対象にした研究では、早くから始めた学習者の方が音の識別は正解率が少々高いという結果は出ています。
発音に関しては次のQ&Aも参考にしてください。

年齢が上がってから学習をした方が理解力(認知能力)も高いため、最初のうちはルールの理解ができなかったとしても、成長に伴って、短い時間で効率よくルールを吸収できると考えることもできます。

Q2.ネイティブのような発音にするには子どものころから始めないといけないのでは?

発音は早くから始めた方が良いと言えます。
ただし、想定よりももっと早い必要がありそうです。
一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

安田

「ネイティブのような発音」にこだわるのであれば、実は小学生でも遅いという厳しい研究結果もあるようです。
英語に限らず、外国語で重要なのは「伝わるかどうか」です。日本に生まれて、EFL環境で育つ以上「ネイティブ」になることはできません。
英語を学習するときには、必ず音声も使って学習を進めておき、コミュニケーションに支障がないような発音ができるように、英語を身につけることが大切です。

日本語で言えば「蛾 (ga)」と「蚊 (ka)」を正しく発音し分けることができないと「蛾が飛んできた」と「蚊が飛んできた」の違いが伝わりません。
英語でも、ship「船」と sheep「羊」では前者は「イ」ですが後者は「イー」のように長さが違います。read「読む」と lead「導く」は単語の冒頭の音が r と l で異なります。
こういった違いを意識して学習することがとても重要です。

Q3.子どものうちは「音声のみ」の指導でいいのでは?

最終的には音声のみの学習には限界があります。
ただし、最初のうちは音に慣れることは必要です。
一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

安田

改めて言うまでもないことではありますが、最終的には文字の読み書きは学習していく必要があります。
いつかは英語を読んだり書いたりする必要があるわけですから。

文字を導入する一つの学習方法として「フォニックス」があります。フォニックスは簡単に言えば文字とつづりの読み方のルールですが、多くの研究が行われていて、スペリングや読みの発達で重要であるとわかっています。
ただ、フォニックスのルールを理解するには音に対する理解度(音韻認識※)が高まっている必要があります。
まずは、歌などで音に慣れていくところから始めて、少しずつ絵本などで文字の世界を見せてあげるのが良いでしょう。

音韻認識とは

フォニックスのルールを子どもに理解させるには、音韻認識(phonological awareness)が十分に発達している必要があります。音韻認識は、音の構造について理解し、音を適切に操作する能力を指します。例えば、単語内のある音を別の音に置き換えたり(例えば、fill の /f/ を /b/ に変える)、単語から特定の位置にある音を削除して(例えば、smile から /s/ を削除する)発音する能力のことです。SLA研究では、音韻認識がスペリングの習得や初期の英語の読みの発達に重要であることが知られています(Koda & Zehler, 2008)。

Q4.英語を勉強することが日本語に影響するのでは?

日本で暮らしていて、基本的な使用言語が日本語であれば、問題はありません。
一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

安田

A1でも触れた「EFL環境」であれば、母語(日本語)に影響はないと言えます。安心して英語に触れさせてあげてください。
スペイン語を母語とする生後7か月~33.5か月の子どもを対象にして行ったある研究でも、EFL環境であれば母語であるスペイン語の能力に差がないことがわかりました。かなり早い段階から英語の学習を始めても母語に悪い影響が出ることはないと考えることができます。

対して、英語が生活上のほとんどで使われている「英語漬け」の環境になるような「ESL環境」の場合には、意識的にケアしておかないと母語を忘れてしまう可能性があるようです。

Q5.英語学習で「ご褒美」をあげてもいい?

最初のきっかけとしては「アリ」です!
ただし、最終的には「モチベーション」につながるように…。
一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

安田

子どもへのご褒美といえば「シール」や「小さなお菓子」などでしょうか。こういった「外的動機づけ」は、学習を始めたり、短期間のモチベーション維持には有効です。
ただし、これだけだと、ご褒美がもらえなくなった時に学習はストップしてしまいますし、徐々にご褒美のレベルがエスカレートしていってしまいます。

大学生のTOEFLの得点の相関を調査した研究では、強い目的意識を持つ人ほど英語の習熟度が高い傾向にあることが分かっています。
ただ、子どもの段階から強い目的を持つことは難しいかもしれません。
まずは英語の歌を一緒に歌ってみる、英語の絵本を読んでみる、世界の文化を知るきっかけを提供するなどから、少しずつ「内的動機付け」にシフトできるように、子ども一人ひとりにあった工夫をしてみるとよいでしょう。

親ができる一番のサポートは?

研究によると、オススメの教材は「絵本」です。
子どもの興味・関心に沿った絵本を一緒に楽しむところから始めてみてください。親子で一緒に物語を楽しんだり、海外のアニメを観て「世界には(日本語以外にも)いろんな言葉があるんだね」と興味の種をまいてあげたりすることで、子どもたちはきっと「ワクワク」してくれます。
そこから少しずつでも英語が身近な存在になってくれるのではないでしょうか。

また、子どもが英語を話して、間違えていた時には、頭ごなしに否定・修正すると逆効果です。子どもの日本語の発達の時と同じです。
例えば、子どもが I goed to park. と言った時に「違うわよ、went でしょ」ではなく、Oh, you went to the park! のように正しい形を含めて自然に返答してあげることで、正しいルールを無意識に吸収することができます。
このような「訂正フィードバック」は、大人よりも子どもの方が正しく学べる可能性が高いと考えられています。

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まとめ

子どもの英語学習は「早く始めないと」と焦る必要はありません!
英語に触れる環境を作りましょう

  • 成長に伴う理解力の向上を活かして学ぶ視点を持つことが大切
  • 発音や音に慣れるには早期から取り組むメリットはある
  • まずは絵本などを通じて英語を楽しみ、長期的な学習意欲につなげましょう

日本の環境において、子どもの英語学習で最も重要なのは、開始時期の早さではありません。焦って知識を詰め込むのではなく、まずは子どもが英語に触れるきっかけを作りましょう。

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