子どもの語彙力が低下傾向!語彙を増やすためにできること

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近年、子どもたちの国語力や表現力の低下が問題視されていますが、実は語彙力の低下が関係しています。
低下の要因として、子どもたちを取り巻く社会環境が挙げられますが、語彙力低下による子どもたちへの影響と、語彙を増やすためにできることを解説します。

子どもと語彙力の関係

では、そもそも語彙力とはどのようなことを指すのでしょうか。
また、現代の子どもの語彙力について考えてみましょう。

語彙力とは

語彙力とは「言葉を理解する力」と「言葉を使って相手に伝える力」のことを指します。つまり、語彙力の差が言葉の理解力と活用力の差につながります。
相手の言葉を理解しながら、自分の言葉を使って伝えることが「会話」ですが、語彙力が低いと「会話」のキャッチボールも上手くいかないということになります。

現代の子どもの語彙力は低下傾向

子どもは新しい言葉を周りの人から聞いたり、本で読んだりして吸収して、意味や使い方を理解していきます。
自分の中に取り入れた言葉を実際に使えるようになるまでは時間がかかりますが、たくさんのことを経験したり見聞きしたりすることで、言葉の使い方や相手への伝え方を学んでいきます。

特に幼いころの子どもが接する機会が一番多いのが大人です。大人から言葉そのものや使い方を吸収していきます。
しかし、現代では家族や地域のコミュニティが縮小化傾向にあり、子どもが大人と接する機会も減っています。祖父母と過ごす時間が少ない家族も増えているため、大人同士の会話や言葉の表現を聞くことも少なくなっています。

よく言われる読書量の低下以外にも、現代の子どもの生活環境が語彙力低下に影響していると考えられています。

子どもの語彙が少ないとどうなる?

では、語彙力の格差は子どもにどう影響するのでしょうか。

教科書が読めない(文章が理解できない)

語彙力の「言葉を理解する」という部分が養われていないと、文章の内容が理解できず、教科書を読むことができません。
教科書から内容を読み解くことができないと、その内容に沿った問題も解くこともできませんし、内容を要約して人に伝えることもできません。
また、知っている語彙が少ないと言葉自体の意味がわからないため、読み進めるのも遅くなってしまいます。

語彙力がないとたくさん勉強しても理解が追いつかないため、成績向上にも繋がりにくくなってしまいます。

自分の考えや気持ちを表現しにくい

例えば観た映画の感動を伝えたいとき、使える語彙が少ないと自分の気持ちを的確に表現することができません。
また、自分がどう思ったかなどという感情を表現したい時も、使える語彙が少ない故に言葉でうまく伝えることができず、他人とコミュニケーションがうまくとれないので、もどかしい気持ちになってしまうでしょう。

また最近では「やばい」「エモい」などといった短い言葉での表現方法が多く使われています。いろいろな感情を短い言葉で発することで、曖昧で複雑な内容をあえて簡潔にまとめたり、想像力や表現力をめぐらせながら考えることが少なくなってしまったりと、あらゆる言葉を適切に使って伝える機会を失うことにも繋がります。

語彙力は国語以外の教科にも必要

「教科書が読めない」という部分にも繋がりますが、語彙力は国語以外の教科にももちろん必要な力です。国語以外にも文章問題で出題される教科はありますので、語彙力がないと文章問題で問われている内容を理解できず、正しく答えることができません。
また、英語に関しても、日本語の語彙力がないと英単語を和訳した時にその意味を理解することができません。

試験においても、記述問題が出題されたときに語彙力が必要とされます。
記述問題では自分の考えを文章にまとめて答えなければいけません。その時に使える語彙が少ないと、考えを文章におこすための適切な言葉選びや、その言葉を使いながら文章にまとめあげる作業ができず、点数配分が多いとされている記述問題で点数を稼ぐこともできませんし、試験時間のロスにも繋がってしまいます。

日常でできる語彙の増やし方

ある程度の語彙は生活する中で吸収し、身につけていくことができますが、語彙の数を増やすためにはプラスアルファの機会を設けることが大切です。

会話を増やす

まず子どもの使える語彙を増やすためにできることは「家族で会話をすること」です。
ただ会話をするのではなく、会話の内容を掘り下げていくことが大切です。内容を掘り下げていくことで、会話の中の語彙が理解できたり、語彙の使い方を学んだりすることができます。

例えば「今日は学校でどう過ごしたの?」という投げかけをします。
子どもから返答があったときに「どう思ったの?」「どうしてそうしたの?」と、子どもの返答に関して質問をしていき、話を深堀りしていきます。

そうすることで、子どもは「今日何があったかな」「どうしてそう思ったのだろう」と自分の中で考えながら、言葉にして伝えようとします。
自分が知っている言葉の中で相手に伝えようとすることが、表現力の向上にも繋がりますし、「この場合はどういう言葉で伝えたらいいの?」と子どもが疑問に思ったら、適切な表現方法を大人から伝えることができます。

「今日何があったのか」という何気ない会話で、子どもは客観的に出来事を思い出しながら、自分の言葉で伝える力を身につけることができます。

また、大人同士で会話している場に子どもが同席するという環境を作ることも、子どもの語彙力アップに繋がります。

大人同士の会話では幅広くさまざまな言葉が飛び交う上、子どもが聞いたことのないような難しい言葉や表現方法が登場するので、子どもが聞いているだけでも言葉を吸収できる良い時間になります。
「その言葉はどういう意味?」と子どもが言葉に対してアンテナを張ることもできるので、自然と言葉に興味を持つ機会にもなりますね。

さらに、会話の際に「すごい」などといった短くて抽象的な言葉を選ばず、できるだけ慣用句や具体的な表現方法を使って話すと、言葉の使い方に楽しみを覚える上、作文力にもつなげることができます。

本や新聞などを読む

日常生活や会話の中で出会うことが難しい言葉を、本や新聞を読むことで吸収することができます。
文章の中で出会う言葉では、会話の中にはない独特の言い回しや表現方法に触れることができるので、言葉に対しての興味の幅を広げることができます。

小説などの文章が苦手という子どもには、漫画を通じて文字に触れる習慣をつけるのも良いでしょう。
漢字にフリガナもふってありますし、表現方法も豊富なものも多いので、楽しく言葉に触れながら読み進めることができます。

自分で読むのが難しい年齢の場合は、大人が読み聞かせをすることで本に触れる機会を増やしていきましょう。
幼いころから本に親しむことで、読書に対して楽しい気持ちが自然と芽生え、自ら読む習慣を身につけることができます。

さまざまな体験をして興味の幅を広げる

実体験をして五感をフルに働かせることで、体験の中で身につけた言葉や新しく出会った言葉、感じたことを表現するための言葉など、さまざまな言葉を吸収することができます。
実体験したことを日記に書くことも、出来事を思い出しながら文章におこしていくので、言葉の使い方はもちろん、相手に伝えるための表現力を養うこともできます。

また、かるたやしりとりといったゲームもおすすめです。楽しみながら語彙力アップにつながりますし、様々な種類のかるたがあるので、興味の幅を広げる機会にもなります。

語彙力を鍛える「新国語講座」

テスト・入試でよく使われる語彙に絞り、Gakken各書籍より、小学生1200語、中学生1800語、高校生2000語、累計5000語の学習をします。
「語彙力」だけでなく「文法力」「論理力」をそれぞれ鍛え、読解力を育成します。

まとめ

日常の工夫で子どもの語彙力は向上できる!

  • 語彙力は全教科において必要不可欠
  • 家族や大人との会話が子どもの語彙力 アップにつながる
  • 本や新聞から日常生活では出会えない新しい言葉を吸収する

語彙力は学習だけではなく、人とコミュニケーションをとるために必要となる力です。語彙力が高ければ高いほど、自分の考えを的確な言葉で伝えることができますし、相手の想いを汲み取ることもできます。生活の中で少し工夫することで語彙力アップにつなげることができますので、ぜひ大人も一緒に実践してみてくださいね。

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