本屋大賞って知っていますか?子ども向けの歴代受賞作品もご紹介

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本屋大賞をご存じでしょうか?
大賞の発表時期が近づくと、本屋さんに特設コーナーが設けられたり、メディアで話題になったりすることも多く、本好きな人にとっては楽しみな賞のひとつです。

今回は2023年のノミネート作品と子ども向けの歴代受賞作品をご紹介します。

本屋大賞とは

本屋大賞とは、オンラインを含む新刊を取り扱っている本屋さんで働いている店員さんの投票のみで選ばれる賞のことです。
過去一年の間、店員さん自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票します。

※参考:本屋大賞とは|本屋大賞

店員さんが選ぶということもあり、読者に近い視点から選ばれた作品が多いので、比較的読みやすい作品がノミネートされています。

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ノミネートや受賞の基準

本屋大賞には部門が3つ設けられており、対象作品の中から大賞が決定します。
2023年度は以下の日程で刊行された作品が対象です。

2023年度本屋大賞 対象作品

2021年12月1日〜2022年11月30日の間に刊行された日本の小説

また、本屋大賞の中には「翻訳小説部門」と「発掘部門」という部門も設けられています。
翻訳小説部門は、本屋大賞の同じ対象日程で刊行された翻訳作品の中から選考されます。
「発掘部門」は、「すでに刊行されている作品にも再度注目してほしい」という狙いから設けられた部門で、過去に出版された本のなかで、今読み返してもおもしろいと店員さんが思った本を選び、投票します。

※参考:本屋大賞とは|本屋大賞

選考方法

本屋大賞、翻訳小説部門、発掘部門で選考方法が異なりますが、本記事では本屋大賞にフォーカスしてご紹介します。

本屋大賞選考方法

1. 一次投票で一人3作品を選んで投票。
2. 一次投票の集計結果、上位10作品をノミネート本として発表。
3. 二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票。
4. 二次投票の集計結果により大賞作品を決定。

2023年度の本屋大賞

本屋大賞は2023年度で20回目を迎えます。
一次投票は2022年12月1日から2023年1月4日まで行われ、全国の471書店、書店員615人が投票しました。

※参考:本屋大賞

ノミネート作品

集計の結果、上位10作品が「2023年本屋大賞」ノミネート作品として決定しました。

2023年本屋大賞ノミネート作品

『川のほとりに立つ者は』寺地はるな(著)双葉社
『君のクイズ』小川哲(著)朝日新聞出版
『宙ごはん』町田そのこ(著)小学館
『月の立つ林で』青山美智子(著)ポプラ社
『汝、星のごとく』凪良ゆう(著)講談社
『方舟』夕木春央(著)講談社
『#真相をお話しします』結城真一郎(著)新潮社
『爆弾』呉勝浩(著)講談社
『光のとこにいてね』一穂ミチ(著)文藝春秋
『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒(著)集英社

受賞作品の発表はいつ?

2023年2月28日まで二次投票を受付け、その投票の結果、大賞作が決まります。
大賞発表は4月12日に予定されています。

大賞が発表されるまでの間、書店では本屋大賞の特設コーナーが設けられていたりするので、ノミネート作品の中で気になるものがある方は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

2022年度の受賞作品

2022年度は一次投票に全国483書店より書店員627人、二次投票では322書店より書店員392人の投票で受賞作品が決定しました。

順位 書籍名 作家・出版社
大賞 同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬(著)/早川書房
2位 赤と青とエスキース 青山美智子(著)/PHP研究所
3位 スモールワールズ 一穂ミチ(著)/講談社
4位 正欲 朝井リョウ(著)/新潮社
5位 六人の嘘つきな大学生 浅倉秋成(著)/KADOKAWA
6位 夜が明ける 西加奈子(著)/新潮社
7位 残月記 小田雅久仁(著)/双葉社
8位 硝子の塔の殺人 知念実希人(著)/実業之日本社
9位 黒牢城 米澤穂信(著)/KADOKAWA
10位 星を掬う 町田そのこ(著)/中央公論新社

見事2022年度の本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』という作品は、優れたミステリ小説作品に贈られるアガサ・クリスティー賞で全選考委員が満点をつけたことで話題になりました。
デビュー作品にも関わらず多方面からの評価が高く、本屋大賞以外にも第9回高校生直木賞も受賞し、2022年いちばん売れた小説でランクインするなど、大変話題になった作品のひとつです。

子ども向けの受賞作品をご紹介

過去に大賞を受賞した作品の中から子ども向けの作品をご紹介します。
年齢や本の読み進め方によっては少し難しく感じてしまう作品もあるかもしれませんが、映画化されていたり、身近な環境がテーマになっていたりする作品も多いので、感想文の課題などの参考にしてみてくださいね。

小学生向け

夜のピクニック

恩田陸(著)/新潮文庫
2005年度受賞

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

2006年には映画化もされている本作品。
高校生の話ですが、さまざまな感情が丁寧に描かれているので、心の成長過程である小学校高学年の子どもたちにとっては共感できたり、新鮮に感じられたりすることが多い作品かもしれません。

中学生・高校生向け

一瞬の風になれ(第1部~第3部)

佐藤多佳子(著)/講談社文庫
2007年度受賞

春野台高校陸上部、1年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感……ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第1部、スタート!

漫画化もされているこちらの作品は、高校生の部活動がテーマになっています。
中学校、高校で部活動に入部していたり、スポーツに打ち込んでいたりする子どもたちにとっては、共感できる部分も大変多く、思わず感情移入してしまうでしょう。
3部構成になっていて少し長く感じるかもしれませんが、ラストに向かうにつれて登場人物たちも成長していくので、 楽しく読み進めることができる作品になっています。

蜜蜂と遠雷

恩田陸(著)/幻冬舎文庫
2017年度受賞

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。 第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

第156回直木賞も受賞している本作品は2019年に映画化もされています。
作品の中にはたくさんのクラシック音楽が登場しますが、読みながらピアノの音色が自然とイメージできるような巧みな文字表現、そして登場人物の感情や情景も丁寧に描かれています。文字数も大変多いので躊躇する方もいるかもしれませんが、ページをめくる手が止まらなくなるほどのめり込んでしまうでしょう。

まとめ

本屋大賞は新しい本に出会えるチャンス

  • 店舗の特設コーナーで書店員さんのおすすめ作品を見てみよう
  • 書店員さんのおすすめポイントが新しい本と出会えるきっかけに
  • 過去の受賞作は映像化されているので、映画を観てから読むのもおすすめ

本屋大賞は2004年に設立された新しい賞ですが、時期がくるとメディアでも話題になるくらいの知名度があります。
過去の受賞作品でも知っている作品があるかもしれません。ぜひ大賞発表までの間に書店を訪れて、書店員さんのおすすめ作品を探してみてください。
自分では見つけることができなかった新しい作品に出会えるかもしれませんよ。

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