「算数が苦手」な子に共通する特徴とは?伸びる子がしている3つのこと
公開日:2025.12.23
最終更新日:2025.12.19
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「あの子はなんで算数があんなに得意なのかしら…」「うちの子は算数が苦手で…」と悩む保護者の方は多いでしょう。
計算問題でミスをしているとか、やり方を全く知らないとか、そういうわけではないのにも関わらず、算数が伸び悩んでいる場合、もしかしたら日ごろの学習で意識しておきたいことの実践をするだけで変化があるかもしれません。

ライター
安田 哲
一般社団法人 日本速読解力協会 理事
約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。
目次
どんな質問対応をしてほしいか?
「先生、質問があります。この問題を教えてください」と質問に行ったときに、どんな先生に教わりたいと思いますか。
① 問題を見て、正解を丁寧に解説してくれる
② 問題を一緒に見て問題文を確認しながら、解き方を丁寧に解説してくれる
③ 問題を一緒に見ながら、問いかけながら一緒に問題を解いていく
④ 問題を見ることなく、まずはどんな問題でどんな質問があったのか説明させる
この回答によって、お子さまの算数への「感覚」がわかります。
保護者の方であれば③や④が理想だというのはお分かりいただけるかと思いますが、算数が苦手な子ほど①を求めがちです。
①は模範解答をなぞって説明するだけなので、「わかったつもり」で終わってしまう可能性が高くなってしまいます。
実はここで一番重要なのは④の観点なのです。以下、詳しく説明します。
「算数が伸びる子」が自然と実践できている3つのこと

「痕跡」を残している
一見すると難しそうな問題で手が動かないケースもあるとは思いますが、少しでも「できることはないか」と思って「痕跡」を残している子がいます。
例えば、覆面算の問題で、右のような問題があったとします。
これを「白紙」のままで質問しに来るのか、「ここまではわかった」として質問に来られるかの違いです。
「とりあえずやってみよう」という気持ちや「正解には辿り着かないかもしれないけど、できるところはあるかもしれない」という気持ちと言い換えてもいいかもしれません。
それが「痕跡」として残っているというのは一つのポイントです。

問題文を正確に読み解いて理解できる力
最初の「どんな質問対応をしてほしいか?」の④に当てはまる内容です。
④の先生に次のような質問をされたとしたら、どのように答えるでしょうか。
「どんな問題でどんな質問ですか?」
(1) えっと…、このテキストの…、あった! この65ページの…、2番目の問題です!
(2)『毎日の算数』というテキストの65ページの2番目の問題です。
(3)『毎日の算数』の65ページの2番目、食塩水の問題です。
(4) えっと…、食塩水の問題で、濃さが6%と10%を混ぜて、最後に水を120mL入れる問題です。
いかがでしょうか?どのタイプが「一番考えているな」と思うでしょうか。
逆に、どのタイプが「問題を見ただけで諦めているな」と感じるでしょうか。
先の「痕跡を残す」のは難しかったとしても、問題文をじっくりと読み込んでいれば、(3)や(4)のような返答はできるのではないでしょうか。
また、中には長い文章の問題だとそれだけで「わからない」と言ってしまうお子さまもいらっしゃいます。
読んでいる途中で「これは難しそうだぞ…」とか、条件がいくつも出てくると「頭が混乱して…」となってしまい、思考回路が止まってしまうイメージです。
最近は問題文が長いことが増えてきていますので、短文はもちろん、少し長い文章題となっても、日ごろから速く正確に理解できるようなトレーニングをしておくことが必要かもしれません。
「何かありそう」と気づける
問題を見てパッと見て「何かがありそう」と気づくことができるポイントです。
わからない問題を考えこんでいるときに、いきなり「何かがあるよ」とヒントなしで言われても、子どもたちにはそのヒントでは気づくことはできません。
では、どうやって気付けるかと言うと、これは問題を解いた経験値に他なりません。
様々なタイプの問題をいろいろな切り口で解いたことがあるお子さまは、頭の中のデータから「前に似たような問題の時にこんな工夫をしたな…」や「以前はこれで失敗したから…」のように、さまざまな解き方を思いつくことができるようになります。
よく言われる「解くための武器」をたくさん持っているというイメージです。
この力は一朝一夕に身につくものではありませんが、いろいろな問題を解くことで自然と経験値をためていくことができるようになります。
算数が「苦手」はどこに潜んでいるのか?
一言で「算数が苦手」と言っても、その原因はいろいろなところに潜んでいます。
問題文を正しく理解できているか
条件が複数提示されている長い文章題も増加傾向にありますが、まずは短い文から正しく理解できているかがポイントです。
「AはBより3cm長い」「BはAより3cm短い」「AとBを比べるとAの方が3cm長い」「AとBを比べるとBの方が3cm短い」「Aの長さからBの長さを引くと3cmになる」…すべて同じ内容ですが、表現が異なることで正しく理解できないケースもあるようです。
計算ミスは「絶対にしない」という強い気持ちが必要
簡単な計算ミスを「ケアレスミス」として「まぁいいや」で済ませていませんか。
計算ミスはどんなに小さなものでも「ミス」なんだということをルールとしておきたいところです。
小学校高学年以上になると、理科の問題でも計算が必要なものが出てきます。
基本的な内容は理解できているのに、計算処理の部分でミスをしてしまうと理科まで苦手な科目になってしまう可能性があります。
計算のどういう点でミスをしているのかをしっかりと分析することで、適切な対策を立てていきましょう。
前学年までの内容に不安が残っていないか
壁に感じている原因を探っていくと、実は前の学年までの内容に不安を抱えているケースもあります。
学習単元の系統表や体系図が教科書会社のウェブページに掲載されています。
例えば「体積」を理解するためには立体図形の考え方、平面の面積の求め方などが理解できていなければなりません。
現在の学年の内容をじっくり説明しても、前学年までの内容が理解できていなければ、本当の意味での理解にはつながりません。
不安があれば、学校や塾の先生に相談して、復習したほうがよい内容を明らかにしておくとよいでしょう。
試行錯誤が思考力を育む!
伸びる子が自然とできている要素でご紹介した「痕跡を残している」がわかりやすい例ですが、「この問題はどうすれば解けるのか」とあれこれ手を動かす過程で思考力が育まれます。
そのためには問題文を速く正確に理解し、試行錯誤するための時間が取れることが必要です。
手と頭を動かした経験が「思考力」につながりますし、問題を見て「何かありそう」と気づく力がもつながり、いろいろな問題が解けるようになります。
そうなってくると、算数が苦手…というネガティブな意識の払拭にもつながるかもしれませんね。
思考力を身につけ、算数が得意になる「算数的思考力講座」

算数的思考力講座では、基礎となる計算力をトレーニングし、すばやく正確に処理できる力を身につけていきます。
その上で、思考問題の基本パターンを習得しながら、どのような問題に直面しても、深く考え抜いて解決する力を養成していきます。
基礎となる計算トレーニングでは、パターンの習得と反復を行い確かな計算力を身につけます。
算数的思考力トレーニングでは、計算や公式にあてはめて解答するだけでなく、さまざまな角度から問題解決への道筋を考え抜く力を養います。
達成感を感じる演出や効果音、アバター等のゲーミフィケーションの要素を取り入れており、楽しく成果を伸ばせます。
ぜひお近くの導入教室で体験してみてください。
総合的な思考力を身につけ
算数・数学が得意に
こんな小学生におすすめ!
- 算数や数学の文章問題を得意にしたい
- 図や表のある問題に取り組みたい
- 成果を実感しながらトレーニングしたい
- 計算の速度を向上させたい
まとめ
算数が苦手な本当の原因は、単なる「センス」や「才能」ではない!
- 算数が伸びる子には「自然にできている」3つの習慣がある
- 学習の土台にある「読解力」を伸ばしたい
- 思考力は試行錯誤できる力から生まれる
算数が苦手なお子さんには、単に答えを教えるのではなく、問題解決の道筋をたどることが大切です。問題文をじっくり読み、何が求められているのかを理解できるようにしましょう。また、試行錯誤しながら問題に取り組むことで、思考力や理解が深まります。子どもが自ら考え、解答を見つける過程をサポートして、算数への自信と興味を育てていきましょう。



