【2025年度】公立高校受験・英語ワード数第1位は?問題の分析と対策

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高校入試問題は、学習指導要領が変わったことや、大学入試改革などの影響を受けて大きく変化しています。
その中でも「英文の長文化」については聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

この記事では、2025年度の公立高校入試における各地域の英語の問題について、集めたデータをもとにワード数や試験時間を調査した結果を掲載します。
一部都道府県については問題の分析も行いました。

公立高校入試・英語ワード数調査

2025年に実施された公立高校入試の英語の文章量・ワード数を調査しました。

※一部複数受験日含む40都道府県データ(SRJ調べ)

全国のワード数平均

地域によって試験時間が異なりますが、平均試験時間は約51分(うちリスニング約12分・筆記約39分)、問題に出題されるワード数は約1,900ワード(リスニング・筆記合計)という結果になりました。

※リスニング時間を公表していない都道府県も一部あり

筆記問題のみだと平均は約1,740ワードで、昨年は約1,650ワードだったので100ワード近く増加しています。
入試などでは、解く時間を全体の試験時間の約6割確保する必要があると言われています。
これらを踏まえると筆記問題は以下のようになります。

平均ワード数約1,740ワードを平均試験時間39分で解ききるには、解く時間を約6割確保すると23分・読む時間は残りの16分となります。

16分で1,740ワードを読むためには、1分間に約112ワード読む必要があります
ですがこれだと見直す時間をとれないので、見直す時間も確保するにはさらに速く読む必要があります。

1分間にどれぐらい読めているのか?

1分間に読めるワード数をwpm(words per minute)といいます。

高校受験生の一般的な読む速さは75wpmといわれています。75wpmでは、前述した1分間に112ワードを読むことはできません。

では、1分間に自分がどれぐらいのワード数を読めているのか知っていますか?
「英語総合読解力測定メジャーさん」では、誰でも無料で気軽に英語を読むスピードを計測できます。
スマートフォンやタブレットでも計測できるので、チャレンジして自分の今のwpmを知りましょう!

【2025年度】公立高校入試・英語ワード数ランキング

今回の調査で、ワード数が一番多かったのは神奈川県、次いで東京都、大阪府(C問題)という結果になりました。
ランキングは以下の通りです。 参考に、前述した解く時間を6割確保するために必要なwpmも掲載します。

※リーディング試験のみで算出
※リスニングとの時間の区別がない場合は、リスニング時間をSRJ調査の平均11分とし、試験時間より算出

ランキング 都道府県 総ワード数 必要wpm
1 神奈川県 3,236 202
2 東京都 3,049 191
3 大阪府(C問題) 2,589 216
4 愛媛県 2,080 104
5 福島県 1,997 125
6 京都府 1,992 166
7 千葉県 1,980 99
8 富山県 1,953 122
9 福井県 1,926 138
10 長崎県 1,831 114

3位以上と4位以下で総ワード数が大きく異なりますね。
3位以内は入れ替わりがありつつも昨年度と同じです。特に1位・神奈川県と2位・東京都は3,000ワードを超えています。

試験時間は都道府県によって違うので、ワード数が多くても試験時間が長ければwpmは低くなっています。
7位・千葉県は1,980ワードですが、試験時間が50分で全国平均より長く、99wpmとなっています。
出題形式が記号の問題が多いのか、記述の問題が多いのかによっても、出題のワード数に影響があると言えます。

ワード数1位は神奈川県

今回の調査の中でワード数が一番多い神奈川県では、総ワード数が約3,236ワードと、平均1,740ワードの2倍近くのワード数でした。
リーディング試験時間40分のうち、解く時間に6割使うことを考えると、最低でも1分間に202ワードを読むスピードが必要です。

今後の高校入試のワード数はどうなる?

昨年と比較するとワード数の平均が増加しており、昨年は1位の都道府県でも3,000ワードは超えていませんでした。(2024年度のワード数1位は大阪府C問題で2,911ワード)
大学入試問題も長文化傾向にあるため、今後ワード数が減る可能性は少ないと考えられます。

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【2025年度】各都道府県の分析

一部都道府県の試験内容の分析を行いました。

北海道

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 絵を選ぶ・対話の適切な応答を選ぶ・内容に関する英語を選ぶ・英文を聞いて条件に合うようにメモを作る 35 13
2 文法・語法・英作文 空所補充、対話を成立させる英作文 16 6
3[A] 長文読解 図表の読解と英作文 10 3
3[B] 長文読解 スピーチ原稿の読解 10 3
3[C] 長文読解 対話文の読解とメールのやり取りの完成 17 7
4 英作文 「人生で最も大きな経験」に関する英作文 12 3

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)1,478(全国30位)

[1] リスニング、[2] 単語の問題と英作文、[3] 長文読解、[4] 英作文の4題構成で、このうち、[3] は図表の読み取り、文章読解、対話文読解の3題からなるという全体の構成は昨年度と大きな変更はありませんでした。
リスニングは35点の配点があり、全国の公立高校入試の中でも配点はトップレベルに高いです。
しかも、約半数の問題が一回しか再生されないため、普段から計画的にリスニング練習に取り組んでおき、失点しないようにしておくように対策するのが良いでしょう。

神奈川県

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 適切な応答を選ぶ問題、対話文の内容理解、スピーチのワークシートの完成 21 7
2 文法・語法 適語選択 6 3
3 文法・語法 適語選択 12 4
4 文法・語法 語順整序 16 4
5 英作文 会話の場面にふさわしい内容の英作文 5 1
6 長文読解 スピーチ原稿の読解とグラフの読み取り 15 3
7 長文読解 予約表・チラシ・問い合わせフォームの読解 10 2
8 長文読解 対話文読解・グラフの読み取り 15 3

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)3,236(全国1位)

[1] リスニング、[2]~[4] 文法小問、[5] 英作文、[6] 長文読解、[7] 図表のある対話文読解、[8] 対話文読解という8題構成は昨年度同様で、小問を含めた問題構成は昨年度と変更はありませんでした。選択肢は短くなりましたが、長文は長くなっており、総語数は昨年度よりも増えました。
表やグラフを用いた読解問題が多いため、英文を読みながら図表の内容を正確に理解する力を養っておくと良いでしょう。

千葉県

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 適切な応答を選ぶ問題 9 3
2 リスニング 対話文の質問の答えをイラストから選ぶ 6 2
3 リスニング 対話文・文章の質問の答えを英文から選ぶ 6 2
4 リスニング 対話文の内容をまとめたメモを完成させる 6 2
5 文法・語法 語形変化・語順整序 15 5
6 英作文 イラストの空所にふさわしい内容の英作文 8 2
7 長文読解 発表の英文の読解と広告文の読解 21 7
8 長文読解 スピーチの読解 17 5
9 長文読解 対話文の空所補充 12 4

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)1,980(全国7位)

[4] のリスニングが文章から対話文に変更になったり、[8] が昨年度はスピーチとそれについての対話文の出題だったものがスピーチのみになったりする変化はあったが大きな構成は変わりませんでした。
リスニングの配点は27点で比重は比較的高く、普段からリスニング対策を行う必要があると言えるでしょう。

東京都

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 対話文・文章の質問の答えを英文から選ぶ・英語の質問に対する解答を英語で書く 20 5
2 長文読解 図表を含む対話文読解と英作文 24 4
3 長文読解 対話文の読解 28 7
4 長文読解 長文読解 28 7

※都立高校では別途スピーキングテスト(20点)が実施されます。上表の配点の割合には含んでおりません。

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)3,049(全国2位)

[1]リスニング、[2]図表を含む対話文読解と英作文、[3]対話文読解、[4]長文読解という4題構成は例年と変更はなく、[3]で英作文が出題されることも昨年度と同様でした。配点や問題構成に関しても大きな変更はありませんでした。
英作文では3文で構成された意味の通る文章を作成する必要があるので、事前に練習して添削を受けておくと良いでしょう。

埼玉県

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 対話文に関する設問に答える問題 28 11
2 英作文 メモを参考にポスターの空所を補う英作文 17 5
3 長文読解 発表原稿に関する長文読解 18 5
4 長文読解 対話文の読解と部分英作文 25 7
5 長文読解 スピーチ原稿に関する長文読解と英作文 12 3

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)1,631(全国23位)

[1] リスニング、[2] メモを見て英語を書く問題、[3] 長文読解、[4] 対話文読解、[5] 長文読解と英作文という5題構成は昨年度と変更ありませんでした。[4] では昨年度にピクトグラムを選ぶ問題が出題されましたが、今年度はそのような図表を選ぶ問題はありませんでした。
長文読解では、日本語だけでなく英語による設問・選択肢も含まれているため、単なる和訳にとどまらず、様々な英語表現で内容を理解できる力を養っておくと良いでしょう。また、単語を書く問題を含めれば作文要素は30点を超えるので、書くことも意識しておきましょう。

愛知県

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 長文読解 対話文の空所を埋める問題 3 3
2 長文読解 グラフを読み取り発表原稿を作成する問題 3 2
3 長文読解 長文読解と発表原稿を作成する問題 5 5
4 長文読解 対話文とウェブページの情報読解 6 6

※リスニング5点+筆記17点の合計22点です。

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)1,543(全国28位)

リスニングの問題構成が大問2つから大問3つになり、問題用紙に選択肢が印刷される問題も出題されました。筆記は [1] 対話文補充、[2] グラフの読み取り、[3] 長文読解、[4] 対話文読解という4題構成は昨年度と同様でした。
全体の問題量はそれほど多くないため、試験時間内に問題を解き切れないという心配は少ないですが、リスニングの比重は約23%で比較的大きい上、出題形式の変更が次年度も加わる可能性があるため、普段から意識的にリスニング練習をしておくと良いでしょう。

大阪府[B]

問題番号 分野 内容 配点 問題数
リスニング 対話の適切な応答・対話に関する質問・スピーチに関する質問 22 8
1 長文読解 対話文読解 29 9
2[1] 長文読解 スピーチの読解 29 10
2[2] 英作文 スピーチをもとにした英作文 10 2

※90点満点を割合で算出しています。
※リスニングは別冊子のため問題の通し番号はありません。

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)1,496(全国29位)

[1] は3人の会話を読んで設問を解く問題、[2] はスピーチ原稿を読んで設問を解く問題と、昨年度と変化はありませんでした。
対話文・スピーチの文章はともに長く、空所補充・文整序・内容一致など英文内容の理解が必須の問題が多いため、英文をスピーディーに読んで理解し、設問に落ち着いて解答するための時間を十分確保しておく必要があるでしょう。

兵庫県

問題番号 分野 内容 配点 問題数
1 リスニング 適切な応答・対話に関する質問・説明文に関する質問 24 8
2 長文読解 オンラインの意見交換(会話形式)の読解 16 7
3 長文読解 長文読解 18 6
4 長文読解 対話文読解 21 7
5 文法・語法 文脈に合う単語を補充する問題 21 8

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)1,793(全国15位)

[1] リスニングと [5] 空所補充は例年と同様でした。[2]~[4] が長文読解であることも変わらなかったが、[2] が対話文から「オンラインでの意見交換」に変更、[4] が昨年度の発表原稿の読解から、一昨年と同様の「対話文」に変更されました。
選択肢の英文が長くなったことや、複数の情報源から正答の根拠を見つけることを考えると、速く正確に英語を読む力は必要です。新たな設問形式に戸惑うことのない、着実な英語力を身につけておくことをおすすめします。

福岡県

問題番号 分野 内容 配点 問題数
リスニング 対話の適切な応答・図表を使った問題・対話に対する質問・英文の内容理解と作文 20 12
1 長文読解 会話文を成立させる空所補充問題 8 4
2 長文読解 会話文の読解とメールの完成 10 5
3 長文読解 長文読解と英作文 14 6
4 英作文 質問に対する返答の英作文 8 1

※リスニングは別冊子のため問題の通し番号はありません。

配点の割合

ワード数(リーディング試験のみ)1,210(全国39位)

問題の構成は、[1] 対話文の空所補充、[2] 会話文の読解、[3] 長文読解、[4] 英作文の4題構成で、昨年度と同様でした。設問の順序・出題の形式に大きな変化はなかったが、[3] ではグラフの読解が出題されたり、単語補充の問題がなくなったりするなど、やや難化したとも言えます。
リスニングは60点満点中20点と配点の割合が高い上、1度しか再生されない問題も含まれているので、日常的にリスニング練習を心がけ、本番でも確実に点数が取れるように強化しておく必要があるでしょう。

ワード数増加への対策は?

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まとめ

2025年度の公立高校入試の英語のワード数
全国平均は約1,740ワード※リーディングのみ

  • ワード数1位は神奈川県の3,236ワード!次いで東京都の3,049ワード、大阪府(C問題)の2,589ワード
  • 昨年より平均ワード数が増加しており、今後ワード数が減少する可能性は少ない
  • 入試対策にはwpmの向上も必要

ワード数の増加だけでなく、出題テーマも難化傾向にあります。wpmを意識しつつ、様々な英文に触れることができるといいですね。
都道府県ごとに出題の特色はあるものの、リスニング・対話文読解・長文読解・英作文と偏りのない出題がされているため、幅広い英語力を意識して身につけましょう。

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