全国統一小学生テストとは? 時間内に解ききるためには

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約4分で読めたら読書速度1200文字/分。

「全国統一小学生テスト」は開始から19年を経て、累計400万人超の小学生が参加したと四谷大塚が発表しています。
このテストをお子さんに受けさせた経験をお持ちの保護者の方も少なくないでしょう。

しかしながら「全国統一小学生テストを受験したものの、時間内に十分解答できなかった!」「試験時間があっという間に過ぎてしまった」といった感想が毎回寄せられています。

この記事では全国統一小学生テストの制限時間や文字数、問題の特徴などを簡潔にご紹介します。
また、試験中に時間不足に陥らないための対策方法についても説明していきます。

一般社団法人 日本速脳速読協会 理事 安田 哲

ライター

安田 哲

一般社団法人 日本速読解力協会 理事

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

全国統一小学生テストとは

全国統一小学生テストは、四谷大塚が主催する学力テストで、年に2回、無料で実施され、小学生であれば誰でも受けることができます。
2007年度に開始され、のべ400万人以上が受験している日本最大規模のテストです。

テストの出題内容は小学校の各学年の学習範囲に準拠していますが、すべての問題が小学校のレベルというわけではありません。
また、文章量・問題量ともに多いため、相当なスピードで解答を進めないと、制限時間内にすべての問題を解ききるのは容易ではありません。

全国統一小学生テストの実施教科・配点・試験時間

各学年の実施教科、配点、試験時間は以下の通りです。
年長生も受験できますが、ここでは割愛いたします。

小学1年生 配点 試験時間
算数 150点 30分
国語 150点 30分
小学2年生 配点 試験時間
算数 150点 30分
国語 150点 30分
小学3年生 配点 試験時間
算数 150点 35分
国語 150点 35分
小学4年生 配点 試験時間
算数 150点 40分
国語 150点 40分
理科 100点 20分
社会 100点 20分
小学5年生 配点 試験時間
算数 150点 50分
国語 150点 40分
理科 100点 25分
社会 100点 25分
小学6年生 配点 試験時間
算数 150点 50分
国語 150点 40分
理科 100点 25分
社会 100点 25分

小学3年生までは国語と算数のみ、小学4年生以降は理科と社会も実施します。

1年生は配点の70%、2・3年生は60%、4・5・6年生は55%が平均点となるように、試験問題が作成されています。
なお、1・2年生は記述式で、3~6年生はマークシート形式で解答します。

全国統一小学生テストを時間内に解ききるために

全国統一小学生テストの各教科の文字数

ここでは、2024年6月に実施されたテストの各教科の文字数を数えてみました。以下のような結果となりました。
問題文だけでなく、選択肢なども含めた文字数で、テストを解くうえで読む必要のある文字数です。

算数 国語 理科 社会
小学1年生 約2,000文字 約1,600文字
小学2年生 約3,000文字 約4,000文字
小学3年生 約4,000文字 約6,800文字
小学4年生 約4,500文字 約8,000文字 約4,700文字 約5,400文字
小学5年生 約5,500文字 約9,200文字 約6,100文字 約5,300文字
小学6年生 約4,800文字 約10,600文字 約8,300文字 約7,600文字

2025年度の御三家中学入試において最多の文字数だったのは桜蔭中の国語で約11,200文字(50分)、次いで麻布中の国語が約11,000文字(60分)でした。
小6の全国統一小学生テストの国語では、これらと同等の文章量が出題されていることがわかります。

確かに、全国統一小学生テストはマークシート方式であり、御三家中の記述式問題とは単純に比較できませんが、純粋な文字量だけを見れば、多くの小学生が「時間が足りない!」と感じるのは当然の結果と考えられるでしょう。

平均的な読書速度では時間が足りない!

この数字をもとにして、問題を最後まで解き切るために必要な読書速度はどれくらいなのかを分析してみます。
一般的に、試験時間の6割は解く時間に必要と言われています。今回は、記述式である小1・小2は試験時間の4割を「読む時間」として計算し、マーク式の小3~小6は試験時間の半分を「読む時間」として計算します。

各学年の国語の問題を「読む」ために必要な読書速度は以下のようになります。

文字数 試験時間 読む時間 必要な読書速度 解答形式
小学1年生 約1,600文字 30分 12分 約133.3文字/分 記述式
小学2年生 約4,000文字 30分 12分 約333.3文字/分 記述式
小学3年生 約6,800文字 35分 17.5分 約388.6文字/分 マーク式
小学4年生 約8,000文字 40分 20分 約400.0文字/分 マーク式
小学5年生 約9,200文字 40分 20分 約460.0文字/分 マーク式
小学6年生 約10,600文字 40分 20分 約530.0文字/分 マーク式

一般的に小学校低学年の平均読書速度は200~300文字/分、高学年では400~500文字/分とされています。
この速度で読めれば、問題文を一通り読んで設問に答えることは理論上可能な計算になります。

しかし、実際には問題を解く際に、文章を読み返す時間はほとんど確保できません
マーク式問題で選択肢を比較する際には、問題文を何度か参照することも必要でしょう。
解答後の見直し時間まで確保するためには、平均的な読書速度の約2倍のスピードで読解できる力を身につけておくことが望ましいと言えます。

小学6年生の問題を解くとき、平均読書速度の500文字/分で読んだ場合、解く時間を試験時間の5割確保することはできません。
平均読書速度の2倍・1,000文字/分で読むと、解く時間だけでなく見直す時間も確保できます。

文章を速く正確に読み解く力は国語以外の教科でも必要

上記の分析は国語に関するものでしたが、全国統一小学生テストで時間が不足する問題は他の科目でも頻繁に発生しています。

例えば小学3年生の算数では、後半の大問の (1) の問題の前に、問題の「設定」が詳しく書かれています。
その文字数は約350~400文字で、およそ原稿用紙1枚分です。
この「設定」と付随する図を正確に理解しなければ、最初の (1) の問題にさえ取り組めないという構成になっています。

理科・社会においても、文章の理解だけでなく、グラフや表の適切な読み取りが求められます。
全国統一小学生テストで初めて理科・社会に挑戦する4年生の問題では、7~8種類もの表やグラフが出題されています。
学年が上がるにつれて、単なる読み取りだけでなく、知識と関連付けた思考が必要となるため、迅速かつ正確な読解力の重要性はさらに高まっていくでしょう。

速く正確に読み解く「速読解力」は高校入試・大学入試でも必須の力

今回は全国統一小学生テストをテーマに、速く正確に読み解く力の重要性を記載しましたが、この「速読解力」は、高校入試や大学入試でも必須の力です。

例えば、全国の公立高校の国語の入試問題の平均はおよそ10,000文字/50分です。
多いところでは20,000文字近くの文字数になっているところもあります。
決められた制限時間の中で、説明的文章・文学的文章・古典の文章問題を解くことが必要な上、漢字・知識問題や作文が出題される場合もあり、速く正確に読み解く力はここでも必要だと言えるでしょう。

また、大学入学共通テストの国語では2025年度より「実用的文章」の出題が始まり、総文字数は約25,460文字/90分でした。
実用的文章の読解では、複数の資料が提示されました。
文章や資料の内容自体は平易でしたが、すばやく情報処理を行って、文章から必要な情報を見つけた上で、論理を組み立てる思考力が必要な問題でした。

大学入学共通テストの英語のリスニングでは、放送が始まるまでのわずかな時間で問題用紙に印刷されている情報(日本語・英語)を読み取ってから問題に臨む必要があります。
もちろん、英語のリスニング力が必要な問題ではありますが、文章を速く正確に読み取って、英語のリスニングに集中できる体制づくりが必要です。

速く正確に読み解く力を鍛える「速読解力講座」

「速読解力講座」では、一人ひとりの読書速度に合わせたトレーニングを通して、速く正確に読み解く力を鍛えます。
読みやすい物語文や、受験対策用の文章まで幅広く搭載。多様な文章で読書経験を増やすこともできます。

文章だけでなく、グラフや図表の読解問題も搭載。
国語以外の教科の学習にも役立ち、科目横断型の問題への対応力も身に付きます。

総合的な思考力を身につける「算数的思考力講座」

「算数的思考力講座」では、基礎となる計算力をトレーニングし、すばやく正確に処理できる力を身につけていきます。
その上で、思考問題の基本パターンを習得しながら、見慣れない初見問題に直面しても、深く考え抜いて解決する力を養成していきます。

複雑な条件を読み取り、試行錯誤しながら考えて解く問題で必要となる思考力と、立式後に正確に数式処理を進めていける力を養うトレーニングをすることができます。

まとめ

全国統一小学生テストを時間内に解ききるためには「速読解力」が必要

  • 全国統一小学生テストは日本最大規模の学力テスト
  • 余裕をもって解くためには、平均的な読書速度の約2倍のスピードがあるといい
  • 「速読解力」は高校入試・大学入試でも必須の力

全国統一小学生テストは無料で受験することができるため、費用をかけずに現在の学力を知ることができます。問題文を読みきれずに最後まで解けなかった場合は、読み解く速度を上げることで、問題にじっくり取り組む時間が取れるようになります。
全国統一小学生テストに限らず、試験時間内に解ききるためには文章を速く正確に読み解く力は鍛えておきたいですね。

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