オリンピックの歴史を知ろう!子ども向けにわかりやすく解説

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2024年7月26日からフランス・パリで夏季オリンピックが開催されます。
世界的なイベントであるオリンピックですが、開催のきっかけや競技数などは知っていますか?

開催の背景や豆知識を知ると、違った視点からオリンピックを楽しめるかもしれません!

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オリンピックはいつから開催されているの?

オリンピックには古代オリンピックと近代オリンピックと呼ばれるものがあります。
今、私たちが「オリンピック」と呼んでいるのは近代オリンピックのことで、「古代オリンピック」で開催されていた内容とは大きく異なります。

オリンピックが開催されたきっかけ

そもそもオリンピックというものが開催されたきっかけは、紀元前9世紀ごろに古代ギリシャで開催されていた「オリンピア祭典競技」と呼ばれる競技祭にまでさかのぼります。
この「オリンピア祭典競技」は、いわゆる古代オリンピックのことを指します。

古代オリンピック

古代オリンピック(オリンピア祭典競技)は、さまざまな神々を崇拝するために行われていました。
現代のオリンピックは世界平和を究極の目的としたスポーツの祭典ですが、古代オリンピックはギリシャを中心にしたヘレニズム文化圏の宗教行事でした。

オリンピックのはじまりは、全能の神ゼウスをはじめ多くの神々を崇めるための、神域(神が宿る場所) における体育や芸術の競技祭だったのです。
考古学的な研究によって、当時のギリシャにはオリンピア地方で行われていた「オリンピア祭典競技」のほかに、コリント地方の「イストミアン・ゲームズ」、ネメア地方の「ネメアン・ゲームズ」、デルフォイ地方の「ピシアン・ゲームズ」などが4大祭典競技として知られています。

参考:公益財団法人 日本オリンピック委員会ホームページ

近代オリンピック

古代オリンピックの火が途絶えて1500年の時が流れた1892年。
フランスのピエール・ド・クーベルタン男爵は、ソルボンヌ講堂で行った「ルネッサンス・オリンピック」と題する講演の中で、初めてオリンピック復興の構想を明らかにしました。
その理想は次第に世界中の国々の賛同を得ることに成功し、1896年、近代オリンピック競技大会の第一歩となる記念すべき大会は、古代オリンピックの故郷・ギリシャのアテネで開催されました。

開会式はアテネのパンアテナイ競技場に5万人の観衆を集めて行われました。
参加したのは欧米先進国の14ヶ国で、実施された競技は、陸上、水泳、ボート、体操、レスリング、フェンシング、射撃、自転車、テニスの9競技でした。
日本は、第5回ストックホルム大会(1912年)でオリンピックに初参加しました。

参考:公益財団法人 日本オリンピック委員会ホームページ

次回開催はいつ?

オリンピックは夏・冬ともに4年ごとに開催されます。
開催国に立候補する国は、治安・財政面・インフラなどといった面を厳しくチェックされ、開催予定の7年前に国際オリンピック委員会の委員らが投票を行って開催地が決定します。

次回のオリンピックは、2024年の夏オリンピックでフランス・パリが開催国として決定しています

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パリ2024オリンピック

2024年7月26日から8月11日まで、第33回オリンピック競技大会がフランス・パリを中心に開催されます。
パリでオリンピックが開催されるのは3回目で、開会式がセーヌ川で開催されることも注目されています。

今大会では32競技329種目が実施され、初めてブレイキンが競技に採用されました。
ブレイクダンスとも言われるアクロバティックな動きを取り入れたダンスです。
オリンピックへの関心が薄い若い世代を呼び込むために採用されました。

パリオリンピックは最もサステナブルな大会を目指している

オリンピックは大規模なために、巨額な費用や環境問題などを抱えています。
パリオリンピックではサステナブルな大会を目指しており、実施される取り組みを一部紹介します。

  • 競技施設の95%は既存・仮設の施設を利用
  • 大会中にパリを走行するバスはゼロエミッション車(※ゼロエミッションとは、CO2など廃棄物の排出をゼロにすること)
  • 競技施設の85%は、オリンピック村から30分で移動可能
  • オリンピック選手村では100%再生利用エネルギーを使用

知ってる?オリンピックの豆知識

オリンピックの開催ははなぜ4年に1回?

オリンピックの開催頻度は、古代オリンピックの時から4年に1度で行われていました。

その理由として最も有力なのは、古代ギリシャ人が太陰歴を使っていたからという説です。
現代、一般的に使われている太陽暦の8年が、太陰暦の8年と3カ月にほぼ等しいことから、8年という周期は古代ギリシャ人にとって重要な意味をもっていたのです。

  • 太陰暦:月の満ち欠けの周期(1周=約29日)を基にした暦。「太陰」は「月」の意味。
  • 太陽暦:地球が太陽の周りを回る周期(1周=約365日)を基にした暦。

暦を司るのは神官であり8年ごとに祭典が開かれるようになり、後に半分の4年周期となりました。
太陰暦では49カ月と50カ月間隔を交互にして開催されていたようです。

参考:公益財団法人 日本オリンピック委員会ホームページ

メダルの豆知識

オリンピックで優秀な成績を収めた選手やチームには、順位別に金銀銅のメダルが贈られることは知っていると思いますが、実はメダルの材料には秘密があるんです

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オリンピック規則で、金メダルは主に銀で作られていて、メダルの表面に約6グラムの純金がメッキとして塗装されています。
つまり、金メダルは銀メダルに金を施したメダルなのです。
メダルの素材を全て金にしてしまうとコストがかかってしまいますが、銀は金と比較して安価で光沢と質感も維持できることから、メダルに最適な素材とされています。

銅メダルについては、青銅または丹銅から作られています。
金メダルや銀メダルと比べて色や質感は異なるものに見えますが、競技で3位に入賞したという価値あるものには変わりありません。

東京2020大会での取組み

2021年に東京で開催された夏のオリンピック(東京2020)では、様々な取組みがされていました。その一例をご紹介します。

①世界初の取り組み「ホストタウン・イニシアティブ」

「ホストタウン・イニシアティブ」とは、日本の地域を大会参加国・地域の「ホストタウン」として登録し、人や文化、経済の交流を図るものです。
神奈川県箱根町では、食を通した文化交流として、ホストタウン相手国である3カ国(エリトリア、ブータン、ミャンマー)の郷土料理を地域の小中学校で提供していました。
また埼玉県新座市では、地域の中高生がホストタウン相手国のブラジルを訪問し、現地で開催された水泳大会に参加するなど、学生によるスポーツを通した交流を深めました。
それぞれの都市間で、互いに理解を深める独自の取組みが行われていました。

参考:パラサポWEB

②使用済み小型家電がメダルに変身

東京2020で授与されたメダルは、使用済みの小型家電から集められたリサイクル金属を素材として使用していました。
東京2020組織委員会が企画したプロジェクトで集めた小型家電約621万台からは、大会で必要な約5,000個分のメダルに必要な金属量を100%回収できたそうです。

参考:パラサポWEB

③パラリンピックのメダルは触って違いがわかる

東京2020大会ではパラリンピック史上初の仕様として、側面に円形のくぼみが施されています。金メダルには1つ、銀メダルには2つ、銅メダルには3つ、とメダルによってくぼみの数が違うのが特徴。
メダルを提げるリボンも、金銀銅の区別ができるように、シリコンプリントによる凸加工が施されることになりました。
デザインにも、日本人ならではの細やかな気遣いがうかがえます。

参考:パラサポWEB

オリンピックに関する本を紹介

こどもオリンピック新聞 アテネからロンドンまで

世界文化社

2020年の東京オリンピックに向けて、子どもたちにオリンピックの歴史・記録・感動を伝える

2度目となる東京オリンピックの開催が2020年に決まり、文部省もオリンピック教育に注力。
本書は第1回のアテネから第30回のロンドン大会までのオリンピックの歴史や記録、エピソード、時代背景などを新聞形式でまとめています。
口絵ではリオデジャネイロ大会の直前の様子やメダルが期待される日本人アスリートの情報も掲載しています。

参考:世界文化社

オリンピック・パラリンピッククイズ全4巻

小峰書店

クイズでオリンピック・パラリンピックを楽しく学ぼう

みなさんはオリンピックやパラリンピックのこと、どれだけ知っていますか?オリンピックやパラリンピックの歴史、競技や種目、活躍した選手や発展につくした人物などの楽しいクイズが満載。2020東京オリンピック・パラリンピックに関するクイズも収録。かんたんな問題から超難問まであり、オリンピック・パラリンピックについて、楽しみながら学べるシリーズです。

(1)オリンピック歴史編(2)オリンピック競技編(3)オリンピック人物編(4)パラリンピック編

参考:小峰書店

5か国語でおもてなし オリンピック競技編

理論社

東京オリンピックでさらに増えるであろう海外からの旅行者や、年々増える日本で暮らす外国人の子どもたちとのコミュニケーションのきっかけになるよう、子どもでも伝えられるように、オリンピック競技に関わる単語をイラストで紹介し、それぞれについて英語、フランス語、スペイン語、韓国語、中国語の5か国語で紹介。

参考:理論社

まとめ

オリンピックの裏側を知ると、大会をさらに楽しむことができる!

  • オリンピックは「オリンピア祭典競技」と呼ばれる古代オリンピックが開催のきっかけ
  • 次回は2024年7月の夏大会、フランス・パリで開催
  • 東京2020では開催に関わるさまざまな取り組みが行われていた

4年に1回開催されるオリンピックでは、世界各国の選手たちがさまざまな種目で競い合います。オリンピックがきっかけで知ったスポーツもあるという方も多いでしょう。競技だけでなく、開催に向けて開催国は独自の取組みをして大会を盛り上げます。開催の背景などを知ることでオリンピックをより深く楽しめますので、2024年夏オリンピックについてもぜひ調べてみてくださいね。

一般社団法人 日本速読解力協会 理事 安田 哲

監修

安田哲

一般社団法人 日本速読解力協会 理事

約20年間にわたり首都圏大手進学塾の現場の最前線で、英語・国語を中心に指導。中学受験・高校受験の難関校への多数の合格者を輩出。科目の内容の指導だけでなく、家庭学習管理、生徒・保護者の皆様との面談を多数行う。大学院では言語学を専攻、英語以外の言語に関しても幅広い知識を有する。

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