なぜ小学生は作文が苦手なの?克服方法を伝授します!

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作文の宿題が出されるたび、ほとんどの子どもたちが原稿用紙を前にして「どうやって書こう…」と頭を抱えていると思います。

親のサポートの難しい作文ですが、今回は作文が苦手なお子さんに向けての克服方法と書けるようになるステップをご紹介します。

なぜ作文が苦手なのか

そもそも子どもたちはなぜ作文が苦手なのでしょうか。理由は大きく分けて2つあります。

理由①書き方がわからない

まずひとつめに、「何をどうやって書くかわからない」という気持ちがあって、作文に対して苦手意識を持っているからです。

学校の授業でも作文の書き方を教えているところは少数派です。
特に文章を読むことすら難しく感じる低学年では、「自分の思ったことを言葉にして長い文章にまとめる」というのは、至難の業でしょう。
書き方を教わっていないのに、いきなり作文を書くというのは、やはりどの学年でも難しいですよね。

理由②語彙が少ない、表現方法がわからない

近年問題視されている、子どもたちの語彙力の低下も作文に苦手意識を持つひとつの理由です。
そして語彙力の低下は、表現力の低下にも繋がります。

語彙力とは「言葉を理解する力」と「言葉を使って相手に伝える力」のことを指します。つまり、語彙力の差が言葉の理解力と活用力の差につながります。
作文を通じて感動を伝えたいとき、使える語彙が少ないと自分の気持ちを的確に表現することができません。また、自分がどう思ったかなどという感情を表現したい時も、使える語彙が少ない故に言葉でうまく伝えることができません。

克服するために、まずやってみること

では、苦手意識を克服して作文に向き合うためにできることを考えてみましょう。

思ったこと、考えていることをアウトプットする

「今の感情は言葉でどう表現するのだろう」「こういう場合は相手にどう伝えたらいいかな」ということを言語化するために、アウトプットする機会を設けましょう。

「家族で会話をすること」が一番自然にできる方法です。会話をすることは子どもの語彙力アップに繋がります。
ただ会話をするのではなく、会話の内容を掘り下げていくことが大切です。内容を掘り下げていくことで、会話の中の語彙が理解できたり、語彙の使い方を学んだりすることができます。

例えば「今日は学校でどう過ごしたの?」という投げかけをします。
子どもから返答があったときに「どう思ったの?」「どうしてそうしたの?」と、子どもの返答に関して質問をしていき、話を深堀りしていきます。
そうすることで、子どもは「今日何があったかな」「どうしてそう思ったのだろう」と自分の中で考えながら、言葉にして伝えようとします。

自分が知っている言葉の中で相手に伝えようとすることが、表現力の向上にも繋がりますし、「この場合はどういう言葉で伝えたらいいの?」と子どもが疑問に思ったら、適切な表現方法を大人から伝えることができます。

「今日何があったのか」という何気ない会話で、子どもは客観的に出来事を思い出しながら、自分の言葉で伝える力を身につけることができます。
さらに、会話の際に「すごい」などといった短くて抽象的な言葉を選ばず、できるだけ慣用句や具体的な表現方法を使って話すと、言葉の使い方に楽しみを覚える上、作文力にもつなげることができます。

本や新聞の表現方法や文章構成を調べてみる

日常生活や会話の中で出会うことが難しい言葉を、本や新聞を読むことで吸収することができます。

文章を読むことで、会話の中にはない独特の言い回しや表現方法に触れることができるので、言葉に対しての興味の幅を広げることができます。
小説などの文章が苦手という子どもには、漫画を通じて語彙に触れる習慣をつけるのも良いでしょう。漢字にフリガナもふってありますし、表現方法も豊富なものも多いので、楽しく言葉に触れながら読み進めることができます。

また、本や新聞からは文章の組み立て方も学ぶことができます。
起承転結の書き方を意識しながら読んでみると、作文を書くときの参考になります。

作文を書けるようになる4STEP

いよいよ作文を書いていきます。
無理に書こうとせず、書く量を少しずつ増やしたり、書きやすいテーマで書いたりしていきましょう。

STEP1:書くことへの苦手意識を受け入れる

苦手な作文を無理に書くと、さらに苦手意識が強くなって書けなくなってしまいます。
短い文でも自分の気持ちや考えを表現できたら、「作文と向き合うことができた!」と書けたことに対してポジティブに捉えましょう。
書けない場合も、「また次書けるかもしれない」と書けなかった気持ちも受け入れて、苦手意識を受け入れることも大切です。

STEP2:テーマを決めて話をする

「家族で会話をすること」が語彙力アップに繋がると前述したように、何かテーマを決めて話をしてみましょう。
おもしろかったこと、最近興味のあることなど、子どもが話しやすいことから始めてみるといいでしょう。
その時に「どう感じたの?」「どういうところがおもしろいの?」と質問をして話を広げていくと、子どもの気持ちや考えを言葉にして引き出しやすくなります。

STEP3:話した内容について書き出してみる

STEP2で話したことについて、箇条書きでもいいので書き出してみましょう。
話したことを思い出しながら書き出していくなかで、さらに深堀りできることもあるかもしれません。

STEP4:短くても文章にしてみる

話したことをテーマにして文章を書いていきましょう。STEP3で書き出した言葉がキーワードになります。
文章にしていくときは「はじめ(作文の主な内容)・なか(自分の主張)・まとめ(結論や主張を繰り返す)」に分けて書いていくと書きやすいです。

例:好きな果物をテーマにした場合

「はじめ」わたし(ぼく)はりんごが好きです。
「なか①」理由は、歯ごたえが良いからです。
「なか②」もうひとつの理由は、甘いからです。
「まとめ」だから、わたし(ぼく)はりんごが好きです。

テンプレート風にして書き込んでいくと、簡単に文章が作れます。書き慣れてきたら「なか」の部分を増やしたり、文章を長くしたりすると、立派な作文に仕上がります。

克服を通じて得られるもの

言葉を通じたコミュニケーションの時間

「作文を書かせるにはどうしたらいいか」と悩む保護者の方は多いですが、お子さんとの会話が作文を書くことにつながるのであれば、お互いに無理せず取り組むことができますよね。
会話の時間をつくることで親子のコミュニケーションの時間を増やすことができる上、 語彙力アップにも繋がるので、日頃からぜひ内容の深掘りを意識して会話してみてください。

「思考力」「表現力」の向上

新しくなった指導要領では、「思考力、判断力、表現力等」の中に「(B)書くこと」という項目があり、そこには「書くことを見付けたり、相手や目的、意図に応じて書くことを選んだりするとともに、必要な材料を整理し、伝えたいことを明確にすること」「自分の思いや考えが明確になるように文章の構成を考えること」と明記されています。

また、大学入学共通テストでも、「思考力」「表現力」が求められる問題が出題される傾向にあります。
小学生のころから、家族の会話の中で「なぜ」「どうして」を話題にして、自分の考えをアウトプットして言葉にして表現する機会を設けることが大切です。

新国語講座で作文に役立つ力を育てましょう

日本速脳速読協会の提供する新国語講座では、語彙・文法を鍛えるトレーニングが搭載されています。
語彙・文法は作文だけではなく、読解力にも役立つ力です。確認テストで成果確認を行いながら、力を育てることができます。

まとめ

アウトプットする機会が作文への苦手意識克服につながる

  • 語彙力と表現力が向上すると、言葉にして伝えたいという意識に変わる
  • 「はじめ・なか・まとめ」のテンプレートで、まずは短い文章から
  • 家族での会話がアウトプットのチャンスに

学年が上がるにつれて、作文の宿題が多くなっていきます。
保護者側としても「どうにか書かせたい」という気持ちが出てしまいますが、書けない場合は一旦離れて、作文のテーマについてお子さんと話してみましょう。会話をすることで、考えや書きたいことが言葉でアウトプットできます。そして一度書けると次への自信につながります。
苦手意識を克服するために、ぜひ実践してみてくださいね。

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