韓国文学「K文学」が世界で人気!その理由と、おすすめ10冊
公開日:2021.07.26
最終更新日:2021.11.05
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韓国ドラマや映画、K-POPは世界的な人気となっており、韓国発のスイーツやコスメも日本で注目を集めています。
特に2020年はいくつかの韓国の本(翻訳本)が日本でベストセラーになり、「K文学」が注目されました。
その人気の理由はいったいなんなのでしょうか。
日本語で読めるおすすめのK文学も紹介します。
目次
翻訳された韓国文学「K文学」が日本で続々ベストセラー
映画化もされた小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)は23万部、2020年本屋大賞「翻訳小説部門」1位を獲得した『アーモンド』(祥伝社)は12万部を売り上げ、日本でベストセラーとなっています。
小説だけでなく、自己啓発の要素のあるエッセイ『私は私のままで生きることにした』(ワニブックス)は日本で50万部を突破。
書店でもK文学の特集コーナーが作られるなど、人気が高まっています。
※出版数は記事作成時 公式Webサイトより
K文学が世界で翻訳されている理由
影響力のある芸能人が情報を発信
K文学が人気となっている理由の一つに、韓国の俳優やK-POPで人気のアイドルによる情報発信があります。世界的に人気のスターによる情報発信が、注目を集めるきっかけとなったようです。
「82年生まれ、キム・ジヨン」は人気アイドルの発言が注目を浴びて人気に火が付き、中国・台湾でもベストセラーとなり、アメリカ、イギリス、フランス、ベトナムなど25ゕ国・地域での翻訳化も決定しています。
「82年生まれ、キム・ジヨン」
少女時代・スヨンはYouTubeを介して放送されたリアリティ番組『90年生まれチェ・スヨン』で「(「82年生まれ、キム・ジヨンを)読んだ後、何でもないと思っていたことが思い浮かんだ。女性という理由で受けてきた不平等なことが思い出され、急襲を受けた気分だった」と、BTS・RMも昨年、NAVERのVライブ生放送を通じて「示唆するところが格別で、印象深かった」と本書にコメントを寄せました。
韓国政府が翻訳事業を支援。翻訳者の育成にも力を入れる
また、韓国では政府が出版・文学支援の施策を行っており、韓国書籍の翻訳事業に1作品当たり約500万ウォン(約50万円)の助成金を出す制度を設けるなど国外展開を後押ししています。
韓国文学翻訳院では、運営している翻訳アカデミーを大学院大学水準の正式な教育機関に格上げする計画を発表するなど、翻訳者の人材育成も活発になっています。
こういった政府の施策や人材育成が、世界各国でのK文学の出版を増やすことにつながり、人気を広げているようです。
文学の海外進出目指しプラットフォーム構築 大学院も開設へ
韓国文学翻訳院の郭孝桓(クァク・ヒョファン)院長は6日の記者会見で、韓国文学の海外進出を図るための統合プラットフォーム「韓国文学グローバルプラットフォーム」を新設し、翻訳院の傘下に翻訳大学院を開設することを盛り込んだ重点推進課題を発表した。
SF・ファンタジー、ドラマ原作も!おすすめのK文学10冊
日本語で読める韓国のベストセラー本
韓国でも人気の小説の中から、日本語で読める本を紹介します。
日本語で読める本
- K-BOOK振興会 日本語で読める韓国の本
- 2020教保文庫総合ベストセラー 教保文庫、今年の総合ベストセラー(韓国通信)
出版社クオンの美しい装丁と、運営するカフェ
韓国の本は、その装丁の美しさも人気のひとつです。
ドイツのデザインコンクール「2021年 世界で最も美しい本」では、最高賞に当たる「ゴールデン・レター」を韓国の『FEUILLES』受賞しました。この書籍は絶版状態ですが、好きなデザインの本を手にとってみるのもいいですね。
韓国関連コンテンツ専門の出版社クオンからも、デザインにこだわった本が出版されています。また、経営するカフェでは4000冊以上の本を販売されているようです。
クオンの出版本
「月に聞かせたい話」
シン・ギョンスク著(クオン)月が満ち欠けしながら夜空をそっと照らすように、静かに心をほぐしてくれるささやかな26の物語。物語の世界と響き合う挿画とともに、オールカラーで刊行。
「ショウコの微笑」
チェ・ウニョン著(クオン)高校の文化交流で日本から韓国へやってきたショウコは、私の家に1週間滞在した。帰国後に送り続けられた彼女の手紙は、高校卒業間近にぷっつり途絶えてしまう。約十年を経てショウコと再会した私は、彼女がつらい日々を過ごしていたと知る。時と場を越えて寄り添う7つの物語。
※表紙の画像は販売サイトより引用しております
- 韓国語圏の知を日本語圏でも CUON 書籍をはじめとする互いの“知”を交わす事業を展開
- 行ってみたい!韓国の本とちょっとしたカフェ CHEKCCORI 韓国語の小説やエッセイなど約4000冊、韓国関連本約500冊を販売するカフェ
韓国では日本の小説が人気?
日本でK文学が人気となりましたが、韓国でも日本の文学作品が人気です。
2020年に韓国で発売された翻訳文学書の数では、2位のアメリカ(27%)を大きく引き離し、日本の翻訳本が5164点出版され、占有率43%で第1位でした。その半数以上がマンガですが、年々文学作品も増えています。
2018年には、韓国で発売された本の内、日本作家の作品が31%となり、韓国の小説29.9%を初めて上回りました。
江國香織、東野圭吾、吉本ばななの作品はベストセラーの常連で、特に2017年に発売された村上春樹の「騎士団長殺し」は、発売から3週間で50万部を突破するなど高い人気を誇っています。
韓国における日本書籍の翻訳出版事情
2020年に韓国で翻訳出版された外国の書籍は、全体発行書籍の18%である1万216点であった。このうち日本の本は5164点で、国や言語圏別の翻訳書で最多の占有率(43%)を示した。
まとめ
K文学の流行の背景には、芸能人の情報発信と政府の後押しがあった
- 世界中で活躍する韓国の芸能人が、愛読書を紹介して人気に火がついた
- 政府が様々な出版・文学の支援を行っている
- 翻訳者の育成に力を入れることで、翻訳言語が増加
韓国ドラマやK-POPに続き、文学作品を通じて交流が広がっていくといいですね。
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